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ブッダ最後の旅【 第3章 】13、死別の運命

投稿日:1999年2月15日 更新日:

【 第3章 】

13、死別の運命

48 「しかし、アーナンダよ。わたしはあらかじめこのように告げてはおかなかったか?
『愛しく気に入っているすべての人々とも、やがては、生別し、死別し、死後には生存の場所を異にするに至る』と。アーナンダよ。生じ、存在し、つくられ、破滅する性質のものが、実は破滅しないように、ということが、この世でどうして有り得ようか?

このような道理は存在しない。それは修行完成者によって棄てられ、吐き捨てられ、放たれ、捨てられ、投げ捨てられたものである。寿命の素因は捨てられた。修行完成者は断定的にこの言葉を説かれた。

『久しからずして修行完成者は亡くなるであろう。これから三か月過ぎた後に、修行完成者は亡くなるであろう』と。修行完成者が生きのびたいために、この言葉を取り消すといういうようなことは有り得ない。

さあ、アーナンダよ。大きな林にある重閣講堂に行こう。」
「かしこまりました」と、若き人アーナンダ尊師に答えた。


(2004年 管理人撮影/インドの仏跡)

49 そこで尊師は、若き人アーナンダと共に大きな林にある重閣講堂に赴いた。そこに赴いて、若き人アーナンダに告げて言った。
アーナンダよ。さあ、ヴァイシャリの近くに住する全ての修行僧たちを講堂に集めなさい。」
「かしこまりました」と、若き人アーナンダ尊師に答えて、ヴァイシャリの近くに住する全ての修行僧を講堂に集めて、尊師に近づいた。近づいて尊師に挨拶し、一方に立った。一方に立って、若き人アーナンダ尊師に次のように言った。
「尊い方よ。修行僧の仲間は集まっております。ご随意にいつでも、どうぞお出かけ下さい」と。

50 そこで尊師は講堂に近づいた。近づいて、設けてあった席に坐した。坐して、尊師修行僧たちに告げた。
修行僧たちよ。それでは、ここでわたしは法を知って説示したが、あなたたちは、それを良く保って、実践し、実修し、盛んにしなさい。それは、清浄な行いが長く続き、久しく存続するようにということを目指すのであって、そのことが多くの人々の利益のために、多くの人々の幸福のために、世間の人々をあわれむために、神々と人々との利益・幸福になるためである。そうして、修行僧たちよ。わたしがそれを知ってあなたたちのために説示したが、あなたたちがそれを良く保って、実践し、実修し、盛んにすべきであり、そうしてそれは、清浄な行いが長く続き、久しく存続するようにということを目指すのであって、そのことが多くの人々の利益のために、多くの人々の幸福のために、世間の人々をあわれむために、神々と人々との利益・幸福になるためであるところの、その法とは何であるか?

それはすなわち、四つの念ずる事柄(四念処)と四つの努力(四正勤)と四つの不思議な霊力(四神足)五つの勢力(五根)五つの力(五力)七つの悟りの事柄(七覚支)八種よりなるすぐれた道(八正道)とである。

修行僧たちよ。これらの法をわたしは知って説いたが、あなたたちは、それを良く保って、実践し、実修し、盛んにしなさい。それは、清浄な行いが長く続き、久しく存続するようにということを目指すのであって、そのことが多くの人々の利益のために、多くの人々の幸福のために、世間の人々をあわれむために、神々と人々との利益・幸福になるためである」と。

51 そこで尊師修行僧たちに告げられた。「さあ、修行僧たちよ。わたしは今あなたたちに告げよう。諸々の事象は過ぎ去るものである。怠けることなる修行を完成なさい。久しからずして修行完成者は亡くなるだろう。これから三か月過ぎた後に、修行完成者は亡くなるだろう」と。
尊師、幸いな人、師はこのように説かれた。このように説いた後で、さらに次のように言われた。

「我が齢は熟した。
我が余命はいくばくもない。
あなたたちを捨てて、わたしは行くであろう。
わたしは自己に帰依することを成し遂げた。
あなたたち修行僧たちは、怠ることなく、よく気を付けて、
よく戒めを保て。
その思いをよく定め統一して、自身の心をしっかりと守るのだぞ。
この教説と戒律とにつとめ励む人は、生まれを繰り返す輪廻を捨てて、苦しみも終滅するであろう」と。

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※このページは学問的な正確性を追求するものではありません。前知識のない一般の方でも「読んでみよう!」と思ってもらえるよう、より分かりやすく読み進めるために編集しています。漢字をひらがなに、旧字体を新字体に、送り仮名を現代表記に、( )にふりがなをつけるなど、原文に忠実ではない場合があります。

なお、底本としてパーリ語経典長部の『大般涅槃経』(マハー・パリニッバーナ・スッタンタ)を使用していますが、学問的な正確性を追求する場合、参考文献である『「ブッダ最後の旅」中村元訳 岩波文庫』を読むようおすすめします。なお、章題/節題は比較しやすいよう同じにしました。

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