【仏教用語/人物集 索引】

『正法眼蔵随聞記』95、泉大道の云く

投稿日:1235年6月11日 更新日:

一日参の次に示して云く、泉大道の云く、「風に向って坐し、日に向って眠る。時の人の錦被たるに勝れり。」と。
この言葉、古人の語なれども少し疑いあり。時の人と云うは、世間貪利の人を云うか。もし然らば、敵対もっともくだれり。何ぞ云うに足らん。もし学道の人を云うか。然らば何ぞ錦を被ると云わん。この心をさぐるに、なお被を重くする心有りやと聞ゆ。聖人はしからず。金玉と瓦礫と等しくす。執する事なし。故に釈迦如来、牧牛女が乳の粥を得ても食し、馬麦を得ても食す。何も等しくす。

法に軽重なし。情愛に浅深あり。今の世に金玉を重しとて人の与うれども取らず、木石をば軽しとて是れを愛するもあり。思うべし、金玉も本来土中より得たり、木石も大地より得たり。何ぞ一つをば重しとて取らず、一つをば軽しとて愛せん。この心を案ずるに、重きを得ては執すべき心あらんか。軽きを得て愛する心あらば、咎ひとしかるべし。是れ学人の用心すべき事なり。

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『正法眼蔵随聞記』

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