【仏教用語/人物集 索引】

『正法眼蔵随聞記』92、古人多くは云く光陰虚しく度る事なかれ

投稿日:1235年6月11日 更新日:

示して云く、古人多くは云く、「光陰虚しく度る事なかれ。」と。あるいは云く、「時光、徒らに過ごす事なかれ。」と。

学道の人、すべからく寸陰を惜しむべし。露命消えやすし、時光すみやかに移る。しばらく存ずる間に余事を管ずる事なく、ただすべからく道を学すべし。

今の時の人、あるいは父母の恩捨て難しと云い、あるいは主君の命背き難しと云い、あるいは妻子の情愛離れ難しと云い、あるいは眷属等の活命我れを存じ難しと云い、あるいは世人謗つつべしと云い、あるいは貧しうして道具調え難しと云い、あるいは、非器にして学道にたえじと云う。是のごとき等の世情を巡らして、主君父母をも離れず、妻子眷属をもすてず、世情にしたがい、財色を貪るほどに、一生虚しく過ごして、まさしく命の尽くる時に当って後悔すべし。

すべからく閑に坐して道理を案じて、終にうち立たん道を思い定むべし。主君父母も我れに悟りを与うべきにあらず。恩愛妻子も我が苦しみを救うべからず。財宝も死をすくわず。世人終に我れをたすくる事なし。非器なりと云って修せずは、何のにか得道せん。ただすべからく万事を放下して、一向に学道すべし。後時を存ずる事なかるべし。

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『正法眼蔵随聞記』

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