いわゆる、大心とは、其の心を大山にし、其の心を大海にし、偏無く黨無き心なり。両を提げて軽しと為ず、鈞を扛げて重しとすべからず。春声に引かれて春沢に游ばず。秋色を見ると雖も更に秋心無く、四運を一景に競い、銖両を一目に視る。是の一節に於いて、大の字を書すべし。大の字を知るべし。大の字を学すべし。
夾山の典座、若し大の字を学せずんば、不覚の一笑もて、大原を度すること莫らん。
大潙禅師、大の字を書せずんば、一茎柴を取って、三び吹くべからざらん。
洞山和尚、大の字を知らずんば、三斤の麻を拈じて、一僧に示すこと莫らん。
応に知るべし、向来の大善知識は、倶に是れ百艸頭上に、大の字を学し来って、今乃ち自在に大声を作し、大義を説き、大事を了し、大人を接し、者箇一段の大事因縁を成就する者なり。住持、知事、頭首、雲衲、阿誰かこの三種の心を忘却する者ならんや。
于時嘉禎三丁酉春、記して後来学道の君子に示すと云う。
観音導利興聖宝林禅寺の住持伝法沙門道元記す。
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1、職を勤める姿が仏の姿
2、心が整えば味も整う
3、米を洗うことも修行のうち
4、心を他のことに移さない
5、菜っ葉も伽藍も上下なし
6、よし悪しの隔てなく授かる心
7、一茎菜を拈じて、丈六身と作し
8、ことに見合った細かい心配り
9、食べることも仏法を行じていること
10、他人のしたことは自分のしたことにならない
11、よく自分のことを勤める
12、学問も修行も天地のいのちに気づくこと
13、まず心をこめて行ずること
14、修行は日々の足下にある
15、すべて行ずることが仏事
16、自他の境をとりはずす
17、ただ自然に変わっていくだけ
18、自然のまま喜びの心で引き受ける
19、親心は無償の心
20、天地の寸法は隔たりがない
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