一日示して云く、古人云く、「霧の中を行けば覚えざるに衣しめる。」と。よき人に近づけば、覚えざるによき人となるなり。
昔、倶胝和尚に使えし一人の童子のごときは、いつ学し、いつ修したりとも見へず、覚えざれども、久参に近づいしに悟道す。
坐禅も自然に久しくせば、忽然として大事を発明して坐禅の正門なる事を知る時もあるべし。
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『正法眼蔵随聞記』
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