示して云く、衲子の行履、旧損の衲衣等を綴り補うて捨てざれば物を貪惜するに似たり。旧きをすて、当たるに随ってすぐせば、新しきを貪惜する心あり。二つながら咎あり。いかん。
問うて云く、畢竟じて如何が用心すべき。
答えて云く、貪惜貪求の二つをだにも離るれば、両頭ともに失なからん。ただし、破れたるをつづりて久しからしめて、新しきを貪らずんば可なり。
※このページは学問的な正確性を追求するものではありません。前知識のない一般の方でも「読んでみよう!」と思ってもらえるよう、より分かりやすく読み進めるために編集しています。漢字をひらがなに、旧字体を新字体に、送り仮名を現代表記に、( )にふりがなをつけるなど、原文に忠実ではない場合があります。
『正法眼蔵随聞記』
<< 戻る