【仏教用語/人物集 索引】

『正法眼蔵随聞記』43、真実内徳無うして人に貴びらるべからず

投稿日:1235年6月11日 更新日:

夜話に云く、真実内徳無うして人に貴びらるべからず。
この国の人は真実の内徳をばさぐりえず、外相をもて人を貴ぶほどに、無道心の学人は、即ちあしざまにひきなされて、魔の眷属となるなり。人に貴びられじと思わん事、やすき事なり。中々身を捨て世をそむく由を以てなすは、外相計の仮令なり。ただなにとなく世間の人のようにて、内心を調えもてゆく、是れ実の道心者なり。

然れば、古人云く、「内心空しくして外従う。」といいて、中心は我が身なくして外相は他にしたがいもてゆくなり。我が身我が心と云う事を一向に忘れて、仏法に入って、仏法のおきてに任せて行じもてゆけば、内外ともによく、今も後もよきなり。

仏法の中にも、そぞろに身をすて、世をそむけばとて、すつべからざる事をすつるは非なり。此土の仏法者、道心者を立つる人の中にも、身を捨てたればとて、人はいかにも見よと思うて、ゆえなく身をわろく振る舞い、あるいはまた世を執せぬとて、雨にもぬれながら行きなんどするは、内外ともに無益なるを、世間の人は即ち是れを貴き人、世を執せぬなんどと思えるなり。中々仏制を守って、戒、律儀をも存じ、自行他行仏制に任せて行ずるをば、名聞利養げなると人も管ぜざるなり。其れがまた我がためには、仏教にも順い、内外の徳も成るなり。

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『正法眼蔵随聞記』

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