【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第二十二祖。摩拏羅尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第二十二祖。摩拏羅尊者。問婆修盤頭曰。何物即是諸仏菩提。尊者曰。心本性即是。師又曰。如何是心本性。尊者曰。十八界空是。師聞開悟。

【機縁】

師者那提国常自在王之子也。年三十遇婆修祖師。婆修盤頭行化到那提国。彼王名常自在。有二子。一名摩訶羅。次名摩拏羅。王問尊者曰。羅閲土風与此何異。尊者曰。彼土会三仏出世。今王国有二師化導。曰二師者誰。尊者曰。仏記。第二五百年有一神力大士。出家継聖。即王之次子。摩拏羅是其一也。吾雖徳薄敢当其一。王曰。誠如尊者所言当捨此子作沙門。尊者曰。善哉大王。能遵仏旨。即与受具。それよりこのかた婆修盤頭に給士す。有時問曰。何物是諸仏菩提。尊者曰。心本性即是也。

【拈提】

実に学道の最初にとふべきは。即はちこの問なり。いはゆる菩提といふは道なり。ゆへにこの問の意は。如何是道ととふなり。今人虚心にして法をとふことなく。初心にして師に参ぜざるゆへにこの問なし。もし真実の道念あらん時。しかあるべからず。先づ問べし。如何是仏と。次に問べし。如何是仏道と。ゆへに今この問あり。しかるに示して曰。心の本性是なりと。なをこころざし二つなく。毫髮のたくはえなきによりて。すなはち問。如何是心の本性と。答曰。十八界空是なりと。時にすなはち開悟す。夫れ仏といふは即心の本性なり。本性終に知不得見不得。まさにこれ無上道なり。然れば心かたちなく立処なし。なにいはんや仏といひ道といふ。みなこれしひてなづけ来るゆへに。仏も覚知にあらず。道も所修にあらず。心も識知にあらず。この田地境なく根なく。識いづれのところにか立せん。ゆへにいふ十八界空是と。然れば這箇の田地心境と論ずること勿れ。識知とわきまへることなかれ。ここにいたりて諸仏卒にかたちをあらはさず。妙道また修持をもちひず。然も見聞覚知はたとひこれ蹤跡なしといへども。声色動搖また界畔あるべきにあらず。ゆへにいふすなはち是即見聞非見聞。更声色無可呈君。此中若了全無事。体用何妨。分不分と実にこれ声は宮商角徴の解をなすことなかれ。色は青黄赤白の会をなすことなかれ。見は眼光の縁とすることなかれ。聞は耳根なりとおもふことなかれ。人人すべて眼の色に対するなく。耳の声に待するなし。若耳の声に類するあり。眼色を縁するありといはば。これ声にもあきらかならず。また眼にもくらし。ゆへいかんとなれば。もし所対の法ありといひ。所待の物ありといはば。声あに耳にいり。色あにまなこにみんや。ゆへに空の空に合し。水の水に合するがことくならずんは。きくことも断へず。みることもたへじ。不爾ゆへにまなこは色に通じ。耳は声に通ず。和融してへだてなく。混合して蹤跡なし。かくのごとくなるゆへに。たとひ天をひびかし。地を響かす声なりといへども。わづかに方寸の耳にいる。あに極大同小にあらずや。そづかに方寸のまなこをもて尽界をてらす。あに極小同大にあらずや。あにまなこの色なるにあらずや。また声の耳なるにあらずや。かくのごとく知てかくのごとくわきまふる。此心界畔辺表なし。ゆへにまなこもとよりうることなし。色もわかつことをゑず。この参科これみな空なるにあらずや。ゆへにこの田地にいたる時。声ととくもゑたり。眼と説もゑたり。識ととくもゑたり。恁麼も得たり。不恁麼も得たり。恁麼不恁麼総ゑたり。繊塵の外より来るなく。毫末のへだてもてゆくなし。ゆへに声ととくときは聴説声中に弁別し。色ととく時は能所色中に安排す。更に分外底なし。然るを諸人この道理に達せず。あるひはおもはく。声色は妄りに立する虚假なり。すべからくはらひはらふべし。本心は本来常住なり。さらに変動すべからずと。もつとも笑ふべし。このところさらになにものか変不変あらん。なにものか実不実あらん。故にこの事をあきらめずんば。ただ声色にくらきのみにあらず。また見聞にも達せず。故に眼を挙め不見思ひ。耳をふさげて聞ざらんとす。是れすなはち無繩自縛し。穴なきにまたおち将て行く。ゆへに情塵漏まぬかれがたし。然れば子細に参到して。もし底に徹して見得明白ならば。頂に徹しても到亦無礙。又卑語。此因縁指説思。要聞麼。

【頒古】

舜若多神非内外。見聞声色倶虚空。

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