【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第二十一祖。婆修盤頭尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第二十一祖。婆修盤頭尊者。因二十祖曰。我不求道亦不顛倒。我不礼仏亦不軽慢。我不長坐亦不懈怠。我不一食亦不雜食。我不知足亦不貪欲。心無所求。名之曰道。時師聞已発無漏智。

【機縁】

師者羅閲城人也。姓毘舍佉。父光蓋。母厳一。家富而無子。父母祷千仏塔而求嗣焉。一夕母夢呑明暗二珠。覚而有孕。経七日有一羅漢。名賢衆。至其家。光蓋設礼。賢衆端坐受之。厳一出拝。賢衆避席曰。迴礼法身大士。光蓋罔測其由。遂取一宝珠。跪獻賢衆。試其真僞。賢衆即受之。殊無遜謝。光蓋不能忍。問曰。我是丈夫致礼不顧。我妻何徳尊者避之。賢衆曰。我受礼。納珠貴福汝耳。汝婦懷聖子。生当為世灯恵日。故避之。非重女人也。賢衆又曰。汝婦当生二子。一名婆修盤頭。則吾所尊者也。二名芻尼此云野鵲子昔如来在雪山修道。芻尼巣頂上。仏既成道。芻尼受報為那提国王。仏記曰。汝至第二五百年。生羅閲城毘舍佉家。与聖同胞。今無爽矣。後一月果産二子。尊者婆修盤頭。年至十五礼光度羅漢出家。咸毘婆訶菩薩与之授戒。然二十祖闍夜多尊者。行化至羅閲城。敷揚頓教。彼有学衆。唯尚弁論。為之首者名婆修盤頭此云遍行常一食不臥。六時礼仏。清浄無欲。為衆所帰。尊者将欲度之。先問彼衆曰。此遍行頭陀能修梵行。可得仏道乎。衆曰。我師精進。何故不可。尊者曰。汝師与道遠矣。設苦行歴於塵劫。皆虚妄之本也。衆曰。尊者蘊何徳行而譏我師。尊者曰。我不求道乃至発無漏智。歓喜讃歎。尊者又語彼衆曰。会吾語否。吾所以然者。為其求道心切。夫絃急即断故吾不讃。令其住安楽地入諸仏智。

【拈提】

この因縁殊にこれ学道のもつとも秘訣なり。ゆへいかんとなれば。仏の成ずべきあり。道のうへきありとおもふて。あるひは持齋梵行。長坐不臥。礼仏転経して。一切の功徳をかさねて。この得道のためにせんと。悉これ華なき空に華をふらし。穴なきところに穴を生ず。たとひ塵劫微塵劫をふるとも。解脱の分なからん。まさにとかく心にねがふところなき。これをなづけて道といふ。然れば欲知足かへりて貪欲の本なり。かならず長坐をこのむも。これ身にとどこほるとがあり。一食ならんとする。これまた見食の分あり。また礼仏転経せんとする。これすなはち眼に華を生ず。故に一一の行業殊にこれ虚妄の本。またく自己本分の事にあらず。長坐もし道なるべくんば。生る時みな十月坐し来る。これすなはち道なるべし。何ぞふたたびもとめん。持齋もし道なるべくんば。ここに病することあらんとき。食時さだまらず。このときこれ道人ならざるべきか。もつとも大にわらふべし。仏弟子樣樣の清規をたて。仏祖の操行を示すことかくのごとし。然るを執して偏ならは却て煩悩なるべし。然も生死去来をいとひ。さらに道をもとむべくんば。汝無始よりいまに死此生彼断ずべからず。いづれのところにか道をうる時節とせん。然もかくの如く諸事にかかはりて。すなはち道をもとめんとおもふ。ことごとくこれあやまりて会するなるべし。さらに何の仏の成ずべきをかみん。何の衆生の迷べきをかみん。ゆへに一人として迷ふ人なく。一法として悟るべき法なし。このゆへに迷を転じて悟となし。凡を転じて聖となすといふも。悉く皆な未悟の人の言なり。さらに何の凡の転ずべきかあらん。何の迷のさとるべきかあらん。ゆへに夾山和尚曰。明明無悟法。悟法却迷人。長舒両脚睡。無僞亦無真。実にこれ道の体かくのごとし。雖然如是。初機後学子細に参じ。かくのごとく平穩の地にいたるべし。ゆへいかんとなれば。自己もし実地するところなければ。或は人の言によりて惑はさる。ゆへに眼をあげて見んと思。仏魔のためにおかさる。今日たとへ如是の所説を聞て。尤うべき所ろなしと解すと云とも。更に或は知識ありて。法の得べきありとも説き。もし仏魔来つて更に修すべき法ありといはば。果して心覚動しかゑつて顛倒せん。今諸仏の正訓をうけ。子細に参徹して。須らく自己安楽の地に至るべし。一度安楽の処ろに至る如き。人は恰も食に飽る人の如し。王膳なりと云ふとも。すなはち希望すべからず。故に云ふ。美食飽人の喫するにあたらず。古人の云く。一度煩らひてやがて安しと。子細に見来んに。自己本分の心仏を見ず。衆生をみず。あに迷と厭ひ悟と求むべけんや。その人をして直に見せしめんとして。祖師西来よりこのかた。有智無智をいわず。旧学新学をいわず。一片に端坐せしめて。自己に安住せしむ。すなはちこれ大安楽の法門なり。ゆへに諸人者曠劫よりこのかた今日にいたるまで。錯まらざるを錯りと思へり。徒らに他人門上の霜をのみ管して。自己屋裡の宝を忘ることなかれ。故にいま親友まさに汝等相あへり。遙に成道を他日に期することなかれ。只須く衲衣をひるがへし。まさに自己方寸の中に向つて。子細に検点将来して。須く他に向つて求むべからず。もし如是ならば。百千の法門も無辺の仏事も。悉く是れより流出し。蓋天蓋地し以て行かん。切に忌む道を求むることを。只自己を保任すべきのみなり。曠劫より以来た。将来り将去り。片時もはなるることなしと云ふとも。すべて自己あることを知らずんば。あだかも手に持ちながら。東西に求るがごとし。これ幾の錯とかせん。是只自己を忘れたるのみ。今日委悉に見来るに。諸仏の妙道も。祖師の単伝も。ただこの一事にあり。あへて疑ふべからす。諸人恁麼の地に至らんとき。あへて天下の老和尚の舌頭を疑はざるべし。上にいふ。聞已て無漏智を発す。無漏地を発せんとおもはば。ただすべからく自己を保任すべし。もし自己を保任せんと思はば。生より老に至る。ただこれ這箇なりと知ん。すべて一塵のすつべきなく。一法のもるべきなし。更に別に無漏智を発せんと思ふことなかれ。今日例によりて卑語あり。適来の因縁を演んと思ふ。要聞麼。

【頒古】

風過大虚雲出岫。道情世事都無管。

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