【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第二十祖。闍夜多尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第二十祖。闍夜多尊者。因十九祖示曰。汝雖已信三業。而未明業従惑生。惑因識有。識依不覚不覚依心。心本清浄。無生滅。無造作。無報応。無勝負。寂寂然霊霊然。汝若入此法門可与諸仏同矣。一切善悪有為無為皆如夢幻。師聞承言領旨。即発宿恵。

【機縁】

師者北天竺国之人也。智恵淵沖化導無量。当時中印度逢十九祖問曰。我家父母素信三宝。而嘗縈疾瘵。凡所営作皆不如意。而我隣家久為旃陀羅行。身常勇健所作和合。彼何幸而我何辜。尊者曰。何足疑乎。且善悪之報有三時焉。凡人恒見仁夭暴寿逆吉義凶。便謂亡因果虚罪福。殊不知影響相随毫釐靡惑。縦経百千万劫。亦不磨滅。因縁必相値。時師聞是語已。頓釈所疑。尊者曰。汝雖已信三業乃至即発宿恵。

【拈提】

上来の因縁実に学人として一一精細に見得すべし。いはゆる素信三宝。而嘗縈疾瘵。凡所営作皆不如意。而我隣家久為旃陀羅行。而身常勇健所作和合すと。ここにいたりておもふ。われ仏法に帰依して年久し。仏法のちからによりて其身つねに無恙。其事心にかなふべきに。悉く心にかなはず。身又病にまどわる。是何の罪ぞ。旃陀羅もとより悪事を行ず。すべて善種を修せず。然るに事にふるること吉祥にして身勇健なり。これ何の幸かあると。今人も如是おもへり。出家猶是の心あり。況や在家は皆如是。いはく汝何ぞ疑ふにたらん。しばらく善悪の報に三時あり。おほよそ人の仁ある者中夭あり。卒暴なる者寿命ながし。逆罪するも吉祥也。義ふかき者凶悪なるをみて。過去をも明らめず。未来をも会せず。ただ眼前の境にまとはされて。即因果なし罪福空ししとおもふ。是すなはち愚癡のはなはだしき也。学道おろかなるゆへ如是也。三業とは。一順現業。今生善悪業を修するに。即一生涯の中に報を受。是順現業となぞく。二順次生受業。今生業を修して次の生に果報を受く。五逆七遮等は必す順次生に報をうく。三順後業。今生業因を修して。次の三生四生乃至無量生の間に業果を受く。然れば過去の善業によりて。今生の善を受くといへども。或ひは往業によりて今果不同なり。いはゆる純善悪業因の者は。今生純善悪業果を感ず。雜善悪業の者は。雜善悪業を受る也。又仏法修行の力ら転重受転。転軽今はなからしむる也。曰く過去劫の悪因未来に重苦感得すべきが。今生修行の力らによりてかろく受ることあり。或ひは病にまつはれ。あるひは事として心にかなはず。或ひは言を出せば人にかろしめらる。是悉く未来の重苦を今生に軽く受る也。然れば仏法修行の力らいよいよたのみあるべし。過去遠遠に修せし報は。ただ勇猛精進せば悉皆かるからしむべし。然も参学の人として随分道を解すといへども。或ひは悪名をうけ。或ひは営作心にかなはず。身も勇健ならざる事あり。即転重受軽とおもふて。人ありて憎悪すとも。会てうらむることなかれ。人ありて謗毀すとも。会てとがむることなかれ。彼の謗人あまつさい敬礼することはありとも。厭悪することなかれ。道業日日に増長し。宿業時時に消滅す。然も須く子細に参得修行すべし。汝既に三業を信ずといへども。未た業の根本をしらず。業といふは善悪の報わかれ。凡聖のしな異也。三界六道・四生九有。ならびに業報なり。此の業は迷より発す。夫れ迷といふは憎愛すべからざるを憎愛し。是非すべからざるを是非す。其の惑といふは。男にあらざるを男と知り。女にあらざるを女としり。自をわかち他をへだつ。其の不覚と云は。自己の根源をしらず。万法の生処をしらず。一切処に智恵をうしなふ。これを無明と名く。これは思慮なく縁塵なし。是の心本清浄にして。余縁にそむくことなし。此の心の一変するを不覚といふ。此の不覚を覚知すれば。自己心本清浄なり。自性霊明なり。如是明らめ得れば。無明即やぶれて。十二輪転終に空し。四生六道速に亡ず。人人本心如是し。故に生滅のへだてなく。造作の品なし。故に憎なく愛なく。増なく減なし。ただ寂寂然たり。霊霊然たり。諸人者本心を見得せんとおもはば。万事を放下し。諸縁を休息して。善悪を思はず。しばらく鼻端に眼をかけて。本心に向ひてみよ。一心寂なる時。諸相みな尽く。其の根本の無明既にやぶるる。故に枝葉業報すなはち存せず。故に無分別の処にとどこほらず。不思量の際に拘らず。常住にあらず。無常にあらず。無明あるにあらず。清浄なるにあらず。諸仏のへだてなく。衆生のわかちなし。清白円明の田地にいたりて。始て本色の衲僧たるべし。若如是ならば。諸仏とおなじかるべし。ここにいたりて一切有為無為。皆つきて夢幻の如し。とらんとすれども手虚しく。見んとすれども目拘はることなし。此の田地にいたりぬれば。諸仏も未た出世せざる旨を明らめ。衆生も未た顛倒せざる処に達す。参学未た此の田地にいたらずんば。十二時中礼仏し。四威儀中に身心を調るとも。唯是人天の勝果。有漏の業報なり。影の形に随ふが如し。有といへども実にあらず。故に人人精彩をつけて本心を明らめよ。例によりて卑語をつく。要聞麼。

【頒古】

豫章従来生空裏。枝葉根莖雲外榮。

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