示して云く、人は思い切って命をも捨て、身肉手足をも斬る事は中々せらるるなり。然れば、世間の事を思い、名利執心の為にも、是のごとく思うなり。ただ依り来る時に触れ、物に随って心品を調うる事難きなり。
学者、命を捨つると思うて、しばらく推し静めて、云うべき事をも修すべき事をも、道理に順ずるか順ぜざるかと案じて、道理に順ぜばいいもし、行じもすべきなり。
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『正法眼蔵随聞記』
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