示して云く、古人云く、「知因識果の知事に属して、院門の事全て管ぜず。」と。言う心は、寺院の大小の事、すべからく管せず、ただ工夫打坐すべしとなり。
また云く、「良田万頃よりも薄芸身に従うるにはしかず。」
「施恩は報をのぞまず、人に与えておうて悔ゆる事なかれ。」
「口を守る事鼻の如くすれば、万禍及ばず。」と云えり。
「行堅き人は自ら重んぜらる。才高き人は自ら伏せらる。」
「深く耕して浅く種うる、なお天災あり。自ら利して人を損ずる、豈果報なからんや。」
学道の人、話頭を見る時、目を近づけ力をつくして能々是れを看るべし。
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『正法眼蔵随聞記』
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