霊鷲山とは、インド・ビハール州のラージギルから北東へ5キロ程のところにある小高い岩山です。この場所でブッダが弟子たちに多くの説法をしたところとして知られています。この岩山の頂上には大きな岩の説法台があり、現在もブッダの聖地として多くの巡礼者が訪れます。また、『法華経』や『観無量寿経』などの大乗経典の多くは霊鷲山で説いた教えであると伝えられています。
梵語でグリドラクータ、巴語でギッジャクータといい、山頂が鷲の姿に見えることから、鷲の峰という意味で「霊鷲山」「鷲峰山」(じゅぶせん)と呼ばれます。略して、「霊山」(りょうぜん)ということも多いです。音訳では「耆闍崛山」(ぎしゃくっせん、ぎじゃくっせん)「姑栗陀羅矩詫」(ぐりどらくた)といい、例えば『妙法蓮華経序品』のはじめに「如是我聞。一時仏住王舎城耆闍崛山中・・・」と出てきます。
ブッダがここで説法をしていた時代、ラージギルはビンビサーラ王(頻婆娑羅王・びんばしゃらおう)が統治するマガダ国の首都・王舎城(ラージャグリハ)がありました(竹林精舎もその近郊にあります)。王は説法を聞きに行く人のために、山頂までの道に石段などを整備して、参道を作ったと伝えられます。現在もビンビサーラ・ロードとして聖地巡礼を支えています(現在は多宝山への参道も整備されています)。また、王自身もその道を通り、ブッダの話を聞きに行ったといわれます。
(2005年撮影の霊鷲山)
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