【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第二十五祖。婆舍斯多尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第二十五祖。婆舍斯多尊者。二十四祖示曰。如来正法眼蔵今転附汝。汝応保護普潤来際。師顯発宿因。密伝心印。

【機縁】

師者罽賓国之人也。姓婆羅門。父寂行。母常安楽。初母夢得神剣因而有孕。師子尊者遊方到罽賓国。有波利迦者。本習禅観故。有禅定・知見・執相・捨相・不語之五衆。尊者既攝五衆名聞遐邇。方求法嗣遇一長者。引其子問尊者曰。此子名斯多。当生便拳左手。今既長矣。而終未能舒。願尊者示其宿因。尊者覩之。即以手接曰。可還我珠。童子遽開手奉珠。衆皆驚異。尊者曰。吾前報為僧有童子。名婆舍。吾嘗赴西海齋受珠附之。今還吾珠理固然矣。長者遂捨其子出家。尊者即与受具。以前縁故名婆舍斯多。終嗣続曰。如来の正法眼蔵今授汝。善保護可及来際。

【拈提】

宿因を顯発すといふは。いはゆる前生すでに婆舍童子といふ。尊者の珠をあつける。いま胎内にいりをよび。長者の家に生るるまで。なをこれを保持し。卒に尊者にたてまつる。これによりてしるべし。この因縁かならずしも肉身やぶれ。ただ真身のみありといふへきにあらず。もしこの身これ壊身となるならば。珠いかんがいま保持せん。然もしるべし。捨生受生もとよりこれ壊身にあらず。ここにいたりて百骸倶潰散。一物鎭長霊也といふべからず。是いかなるものか長霊なるべきぞ。ただ捨身を現じ。受身を現ずるのみなり。ゆへにいふつべし。前後両箇にあらずと。古今別異なし。然れば是れ身といふべきにあらず。是れ心といふべきにもあらざるなり。身心とわかれざれは。古今とわかつべきにあらず。ゆへに恁麼なり。婆舍のみ如是なるにあらず。真実をいはば。人人みな悉くかくのごとくなり。ゆへに無生所無死所。時にしたがひて頭をかへ面をかへすのみなり。かならず四大をかへ五蘊をあらたにするにはあらず。すべて一片肉団のをほひ来るなく。かつて絲毫の骨頭のささへ来るなし。たとひ千種の形あり。万般の品あるも。悉くこれ本来の心光なり。この道理をしらずして。これを幼少とおもひ。かれを老大とおもふ。すべて老体なく。本来幼少なし。もしかくのごとくならば。なにによりてか生死を判し。前後をわかたん。これによりて前世の婆舍今日の斯多。両箇の身にあらずと指説する。これすなはち宿因なり。ゆへに如来の正法眼蔵を伝附し。未来際をうるほす。然ればしるべし。一切諸仏諸祖もとよりかつてさとらず。一切の愚癡諸人卒に迷はず。有時は修行し。有時は発心す。菩提発心もとをはりなくはじめなし。衆生諸仏もとより劣にあらず勝にあらず。只恁麼縦横なるのみなり。然れば曠劫以来かつてかくのごとく保任して宿因をわすれざるのみなり。今朝又這箇の因縁を指注するに。例によりて卑語あり。

【頒古】

開華落葉直彰時。薬樹王終無別味。

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