【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第四十二祖。梁山和尚。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第四十二祖。梁山和尚。参侍後同安。安問曰。如何是衲衣下事。師無対。安曰。学仏未到這箇田地最苦。汝問我道。師問。如何是衲衣下事。安曰。密。師乃大悟。

【機縁】

師不知何許人。諱縁観。参後同安。執侍四歳。充衣鉢侍者。同安有時上堂。早参可掛衲法衣。時到師捧衲法衣。同安取法衣次。問曰。如何是衲衣下事。師無対乃至師乃大悟。礼拝而感涙濕衣。安曰。汝既大悟。又道得。師曰。縁観便道得。安曰。如何是納衣下事。師曰。密。安示曰。密有密有。

【拈提】

師これより逗機。おおく密有の言あり。住して後に学人ありて衲衣下事を問こと多し。有時学人問。如何是衲衣下事。師曰。衆聖莫顯。又有時学人問。家賊難防時如何。師曰。識得不為寃。曰識得後如何。師曰。貶向無生国裏。曰。莫是他安身立命処。師曰。死水不蔵龍。曰。如何是活水龍。師曰。興波不作浪。曰。忽然傾湫倒嶽時如何。師下座把住曰。莫教濕却老僧袈裟角。又有時問。如何是学人自己。師曰。寰中天子。塞外将軍。かくのごとく他の為にせん。悉くこれ密有を呈似す。適来の因縁に曰く。学仏未到這箇田地最苦なりと。実哉此言。たとひ定坐床をやぶり。精進疲をわすれ。高行梵行の人なりとも。若未到這箇田地。なほ三界牢獄いでがたし。四弁を具し。八音を具して。巧説きりのごとくおこり。口業海のごとくひるがへり。説法天地をおどろかして。華をふらし石を動ずとも。もしいまだこの田地にいたらずんば。閻羅老子言多きことをおそれず。たとひ日久しく。月深く修行して。念つき情しづまりて。かたち枯木のごとく。心死灰のごとくにして。一切時に於て。境にあふても心不起。事にふるるとも念不乱。遂に坐しながら脱し。立ながら死し。生死において自在自由をうるに似たりとも。なほいまだこの田地にいたらざれば。仏祖屋裏用不著なり。故に古人曰く。先達悉くこの事をもて一大事とすと。ここをもて曩祖洞山和尚。僧問。世間何物最苦。曰。地獄最苦。山曰。不然。在此衣線下不明大事是名最苦。この門人雲居角立す。すなはちこの因縁を挙して曰く。先師道。地獄未是苦。向此衣線下不明大事却是最苦。汝等乃至更著些子精彩便是。上座不屈平生行脚。不辜負叢林。古人曰。欲得保任此事。須向高高山頂立。深深海底行方有些子氣息。汝若大事未弁。且須履踐玄途。しかのみならず。釈迦牟尼仏もまた五仏の開章に。諸仏世尊。唯以一大事因縁故出現於世。いはゆる仏智見を開示悟入せしむるなり。まさにこの一段の大事因縁をあきらむるを大事とす。徒に仏弟子に似たることをばよろこばず。もし這箇の事をあきらめずんば。畢竟して在家の俗人となんのことなることあらん。ゆへいかんとなれば。眼に色をみることもことならず。耳に声をきくこともかわらず。外に境縁に対するのみにあらず。内に縁慮も忘ずることをゑず。ただこれかたちの代るのみなり。卒に別なし。畢竟して一息断し。両眼とづる時。汝が精魂徒にものに随ひて転ぜられて。三界に流注し。わづかに人中に生じ。天上に生ずること。品あるに似たるとも。車のめぐりめぐりてかきりなきに似たり。もとより人をして在家をはなれ。塵労をいださしむる心なにごとにかある。ただこれ仏智見に達せしめんが為なり。わずらはしく叢林をもふけ四衆をあつむる。ただこの事を開明せしめんが為なり。故に僧堂を名けて選仏場といふ。呼長老唱導の師とす。みだりに衆をあつめ。かまびそしくせんとするにあらず。ただ人をして悉く自己を開明せしめんが為なり。故にたとひ出家の形となりて。なまじゐに叢林にまじわるといふとも。若しこの事をあきらめずんば。徒に労して功なきのみなり。なにいはんや末代悪世の初機後学。たとひ身儀心操。先仏の方規のごとくまなばんとすとも。天性迂曲にして学得することあたはず。近来の僧手をさだめ足をくだすことおだやかなをず。大小威儀内外心術。悉くまなばんとせず。ゆへに僧儀なきがごとし。たとひ身儀心操むかしのごとくなりとも。若心地をあきらめずんば。人天の勝果にて有漏の因縁。なにいはんや心地あきらめず。身儀ととのはず。徒に信施をうけ来る。皆是墮獄の類なり。然れども先徳曰く。世下り人疎にして。たとひ身儀心操古聖のごとくなくとも。精細綿密にして一大事をあきらめゑば。おそらくは三世諸仏と差ふことなからん。六代祖宗歴代古聖。悉く兄弟ならん。もとより三界の出べきなし。あに六道の迴るべきあらんや。然れば精細に功夫し。綿密に参学して。衲衣下の事をあきらむべし。この一大事因縁。正像末の時へだてなく。梵漢和国ことならず。故に末法悪世とかなしむことなかれ。遠方辺地の人ときらふことなかれ。この事もとより千仏きそひきたりて。あたゑんとすといふとも。仏力も終にをよびがたからん。然れば子に授る道にあらず。父に受る道にあらず。但自修自悟自身自得すべし。無量塵劫の修行なりとも。自証自悟せんことは。一刹那のあひだ。一度憤発の勢をなさば。尽乾坤一毫もゑきたらず。一度このところに到りなば。曠大劫来昧からず。豈諸仏の授るあるあらんや。故に子細に此のところにいたらんとおもはば。先須捨万事。なほ仏祖の境界をももとむることなかれ。なに況んや。自他憎愛あらんや。ただ毫髮の知解をおこさずして。すなはち直下を見よ。必ず皮肉なきものあり。体虚空のごとくにして別色なし。あだかも清水の徹底あきらかなるがごとし。廓然明白にして。ただ了了として知るのみなり。且く道へ。這箇の道理いかんがあらはしゑんや。

【頒古】

水清徹底深沈処。不待琢磨自瑩明。

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