【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第六祖。弥遮迦尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第六祖。弥遮迦尊者。五祖因示曰。仏言。修仙学小。似繩牽挽。汝可自知。若棄小流。頓帰大海。当証無生。師聞契悟。

【機縁】

師者中印度人也。為八千仙人長者也。一日率衆。瞻礼提多迦尊者曰。吾昔与師同生梵天。吾遇阿私陀仙人受仙法。師者遇十力弟子修習禅和。従是報分殊途已経六劫。尊者曰。支離累劫。誠哉不虚。今汝可捨邪帰正以入仏乗。師曰。昔阿私陀仙人授我記曰。汝却後六劫。当遇同学証無漏果。今也相遇。非宿縁耶。願和尚慈悲令我解脱。尊者時出家受具。余仙衆初生我慢。時尊者示大神通。仙衆於此倶発菩提心。一時出家す。ゆへに八千仙衆八千の比丘となりて。相したがひて出家せんとせしきざみ。尊者示曰。仏言。修仙学小乃至師聞契悟す。

【拈提】

それ仙を学し。寿命長遠なることをゑ。神通妙用をうるといへども。過去八万劫・未来八万劫を通理するのみ。前後遠くかんがみることなし。非相・非非想を修して。無心想定にるといへども。かなしむらくは。非想天に生じ。長寿の天となりて。色体をうしなふことはゑたりといへども。なをこれ業識流注の分あり。仏に参ずることもゑず。道に通ずることもゑず。かの業識の報つくるとき。かへりて無間獄に墮在す。ゆへになはのひきまつうに似たり。つゐに解脱の分なし。小乗学者は初果を証し・二果を証し・三果を証し・四果を証し・独覚を証すといへとも。なをこれ身心中の修習。迷悟中の弁道なり。これによりて初果の聖者。八万劫をへて始めて初心の菩薩となる。二果の聖者は。六万劫をへて始めて初心の菩薩となる。三果の聖者は。四万劫をへて始めて初心の菩薩となる。独覚の聖者は。十千劫をへて菩薩道に入る。善因つゐに帰すといへども。うらむらくは。これによりて輪転の業なをたへず。またこれなはの牽挽するに似たり。本解脱の人にあらず。実にそれ八十八使の見思・塵沙無量の惑を破して。繊塵のとヾむべきなく。一毫の惑なしといへども。徒に有為功業にして。つゐに無漏の仏果にあらず。然れば本にかへり源にかへる。待悟為則の弁道。悉皆これに類す。ゆへに諸人者無をも要することなかれ。おそらくは落空亡の外道に同ふしつべし。空劫威音にとヾまるべからず。またこれ魂不散底の死人に似たり。妄法の空華をとヾめて。真実の本性に達せんとおもふことなかれ。却てこれ断無明証中道聖者に類す。雲なきところに雲をおこし。玼なきところに疵を生ず。あだかも伶俜他国の窮子なるべし。無明迷酔の貧客なり。おもふべし。汝はこれ誰人なれば。生前ととき・死後ととく。更になんの過・未・今をか存せん。曠劫以来片時もあひあやまることなし。従生至死たたこれ恁麼なり。然りといへども。一度築著せざれば。徒に根境に迷惑して。自己をしらざるものなるべし。目前をうとくするなり。ゆへに身心の生起するところをもしらず。万法の流出するところをもわきまへず。ゆへなくはらはんとおもひ。ゆへなくもとめんとねごふ。かくのごとくなるゆへに。仏をしてわじらはしく出世せしめ。祖師をしてねんごろに垂誡せしむ。恁麼に垂誡して手をたるといへども。なを自己の知見に迷惑せられて。あるいは不知ととき。あるひは不分ととく。真個無明なるにもあらず。親切函蓋するにもあらず。徒に思量計較の中にありて。正邪を見別し来る。しらずや汝ぢら諸人。呼にしたがひて応じ。指にしたがひていたる。これ擬慮より生ずるにあらず。覚知より起るにあらず。まさしくこれ汝ぢが主人公なり。その主人公面目なく体相なし。然れども動著してやむ時なし。これによりてこの心生じ来る。これを名けて身といふ。この身あらはれてより。然も四大・五蘊・八万四千の毛孔・三百六十の骨節。合成して汝ぢらが一身たり。玉の光りあるに似。声の響を帯するがごとし。ゆへに生来死去。一時もかげたるところなく。一時もあまれるところなし。恁麼の生滅。生ずれども生の始めなく。死すれとも死の跡なし。恰も海中の波浪おこりて痕なきがことく。また波浪の滅せざるがごとし。去り去れどもかつて別処にゆかず。たヾ海の消息としを。大波小波起つてきへず。汝ぢらが心もまたかくのごとし。動著してやむ時なし。ゆへに皮肉骨髄とあらはれ来り。四大五蘊と使用し来る。また桃花翠竹とあらはれ来り。得道明心と悟証し来る。声色品分れ。見聞道異なり。著衣喫飯と受用し。言語事業と運用す。分れ分れども差別の法にあらず。あらはしあらはるれども体相にとヾまらず。恰も幻人の諸の幻術をなすがごとく。夢中に諸の形像を出生するがごとし。鏡中に万像千変万化すといへども。只この一面の鏡なり。もしかくのごとくしらざれば。徒に仙を修し小を学し来らば解脱の期なし。諸人ことごとくこれ縛するものなし。なんそ新に脱するあらんや。迷悟もとよりなく。縛脱さきよりはなる。これ無生なるにあらずや。これ大海なるにあらずや。小流いづれのところにかある。塵刹微塵刹ことごとく法界海なり。溪流瀑漲江河旋洄する。みなこれ海上の溌転なるなり。而ふしてすつべき小流なく。とるべき大海なし。恁麼なるゆへに節目おのづから除けり。旧見一度に改まりき。仙を捨て出家す。これすなはち宿縁契発するなり。しかも諸人恁麼に三来三去し。心語即通す。実にこれ親友与親友相見し。自己与自己点頭し来る。ともに性海中に游泳して。片時も隔歴することなし。実に恁麼に感発せば。すなはちこれ宿縁あらはるべきなり。見ずや。馬大師曰。一切衆生従無量劫来。不出法性三昧。常在法性三昧中。著衣喫飯。言談祗対。六根運用。一切施為。尽是法性なりと。かくのごとく云ふをきヽて。法性の中に衆生ありと会すべからず。法性といひ衆生といふ。水と波といはんがごとし。ゆへに言によりて水ととき波ととく。あにこれ多種あらんや。今朝又説破因縁。更有卑頌。大衆要聞麼。

【頒古】

縦有連天秋水潔。何如春夜月朦朧。人家多是要清白。掃去掃来心未空。

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