【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第五祖。提多迦尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第五祖。提多迦尊者。曰出家者。無我我故。無我我所故。即心不生滅故。即是常道。諸仏亦常。心無形相。其体亦然。毱多曰。汝当大悟自心通達。師乃大悟。

【機縁】

師者摩伽陀国人也。初生時。父夢金日自屋而出照耀天地。前有一大山。諸宝厳飾。山頂泉涌滂沱四方流。師参毱多尊者。初語此事。毱多尊者為解之曰。大山者我身也。泉涌者汝発智恵法無尽也。日従屋出者汝今入道之相也。照耀天地者汝智恵超越也。師元名香象。因易今名。梵曰提多迦。此曰通真量也。師聞説已。唱偈言。巍巍七宝山。常出智恵泉。迴為真法味。能度諸有縁。毱多尊者亦説偈曰。我法伝於汝。当現大智恵。金日従屋出。照耀於天地。自然師礼拝。随従卒求出家。毱多問曰。汝志求出家。身出家耶心出家耶。師曰。我来求出家。非為身心。毱多曰。不為身心。復誰出家。師曰。出家者乃至師乃大悟。

【拈提】

実にこれ出家は無我我の我をあらはす。ゆへに身心をもて。弁ずべきにあらず。この無我我の我。すなはち常道なり。生滅をもてはかるべきにあらず。ゆへに諸仏にあらず。衆生にあらず。いはんや四大・五蘊・三界・六道ならんや。ゆへに心に形相なし。たとひ見聞あり覚知ありとも。つゐに去来にあらず動静にあらず。かくのごとく見得する。すなはちこれ心を知得する底の漢。なをこれ聞解といひつべし。ゆへに提多迦恁麼に解すといへども。毱多点して曰。汝当大悟心自通達と。あだか貿易の物に。皇帝の印を下すに似たり。王印もし題するとき。これ毒にあらず。これうたがいにあらず。またこれ公物にあらず。ゆへに人使用し来る。師資の道あひ契ふこと如是。たとひ理として通ぜずといふことなく。道としてあきらめずといふことなしといふとも。すべからく大悟してはじめてうべし。一度大悟せざれば。徒に知解の客となりて。つひに心地に通ぜず。ゆへに仏見法見いまだまぬかれず。自縛他縛いづれのときかのがれん。然ればたとへ四十九年の説。一字も遺落せず。三乗五乗一法も錯謬せずといへども。一度大悟せずは真の衲子とゆるしがたし。然ればたとひ千経万論を講得し。仏を影向せしめ。大地を震動せしめ。天華を乱墜せしむとも。はやくこれ座主の見解。いまだ本色の衲僧にあらず。然れば三界唯心と会すべからず。諸法実相と会すべからず。悉有仏性と会すべからず。畢竟空寂と会すべからず。実相なほこれ節目にかヽはる。皆空却て落空におなじし。悉有また性霊に似たり。唯心いまだ覚知をまぬかれず。然れば此の事を求めんとおもはん人。千経万論の中に求むることあらば。うらむらくは捨父逃逝の漢なり。ゆへに一一自己の宝蔵を打開して。一大蔵経を運出せんとき。聖教おのづから我有なることをゑん。もし恁麼に証得せずんば。仏祖ことごとくこれ汝ぢがあだなり。ゆへにいふ。那箇魔魅教汝出家那箇魔魅教汝行脚。道得也叉下死。道不得也叉下死と。恁麼なるゆへにいふ。出家は身心のためにあらずと。かくのごとく解すといへども。なをこれ本色の衲子にあらず。ふたヽび指出して。はじめて大悟して通ずることを得たり。然れば諸人者子細に弁道し。綿密に功夫し。文によりて義を解することなく。覚によりて霊をわきまふることなく。乾坤・大地・凡聖・依正を大に破壊して。前後に往返すといへども。一の障礙なく。上下に出入すといへども。一塵の隔歴なくして。さらに虚空に窟籠をゑり。平地に波瀾をおこして。仏面を看得し。悟道明心を識得して。胡蘆藤種胡蘆をまつい来り。一顆円光珠玉を回し来て。仏祖堂奧の事あることをしりて。はじめて得べし。適来の因縁敢て卑語を著んとおもふ。要聞麼。

【頒古】

得髄須知得処明。輪扁猶有不伝妙。

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