【仏教用語/人物集 索引】

『正法眼蔵随聞記』83、伝へ聞きき、実否を知らざれども

投稿日:1235年6月11日 更新日:

示して云く、伝へ聞きき、実否を知らざれども、故持明院の中納言入道、ある時秘蔵の太刀を盗まれたりけるに、さぶらひの中に犯人ありけるを、余のさぶらひ沙汰し出してまひいらせたりしに、入道の云く、「是れは我が太刀にあらず、ひが事なり。」とてかえしたり。

決定その太刀なれども、さぶらひの恥辱を思うてかえされたりと、人皆是れを知りけれども、その時は無為にて過ぎし。故に子孫も繁昌せり。俗なお心あるは是の如し。いわんや出家人は、必ずこの心あるべし。

出家人は財物なければ智恵功徳をもて宝とす。他の無道心なるひが事なんどを直に面にあらわし、非におとすべからず。方便を以てかれ腹立つまじきように云うべきなり。「暴悪なるはその法久しからず。」と云う。たとひ法をもて呵嘖すれども、あらき言なるは法も久しからざるなり。小人と云うは、いささか人のあらき言に必ず即ち腹立して、恥辱を思うなり。大人はしかあらず。たとひ打ったりとも報を思わず。国に小人多し。つつしまずはあるべからず。

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『正法眼蔵随聞記』

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