【 第2章 】
7、商業都市ヴァイシャリ
11 さて、尊師はナーディカ村に心ゆくままに住して後に、若き人アーナンダに告げた。
「さあ、アーナンダよ。ヴァイシャリに赴こう」と。
「かしこまりました」と、若き人アーナンダは尊師に答えた。
そこで尊師は多くの修行僧と共にヴァイシャリに赴かれた。そうしてそのヴァイシャリで尊師はアンバパーリのマンゴー林に住された。
(ヴァイシャリの関連遺跡)
12 そこで尊師は修行僧たちに告げられた。
「修行僧たちよ。修行僧はみずから念じて、よく気を付けておれ。これがあなたたちに説くわたしたちの教えである。
修行僧たちよ。修行僧が念じているというのは、どのようにすることなのであるか?修行僧たちよ。ここで修行僧は身体について身体を観察し、熱心によく気を付けて、この世における貪欲や憂いを除去していなさい。感受に関して感受を観察し、熱心によく気を付けて、この世における貪欲や憂いを除去していなさい。心について心を観察し、熱心によく気を付けて、この世における貪欲や憂いを除去していなさい。諸々の事象について諸々の事象を観察し、熱心によく気を付けて、この世における貪欲や憂いを除去していなさい。このようにしてこそ修行僧は、正しく念じているのである。」
13 また、修行僧たちよ。修行僧がよく気を付けているというのは、どのようにすることなのであるか?
修行僧たちよ。ここで修行僧は、出て行く時にも、よく気を付けていて、前を見る時にも、後を見る時にも、よく気を付けていて、腕を屈する時にも、伸ばす時にも、よく気を付けている。大衣や衣鉢を取る時にも、よく気を付けている。食し、飲み、噛み、味わう時にも、よく気を付けている。大小便を為す時にも、よく気を付けている。行き、住し、坐し、眠り、めざめ、語り、沈黙している時にも、よく気を付けている。
修行僧たちよ。修行僧はこのように実によく気を付けているのである。修行僧たちよ。修行僧は、このように念じて、よく気を付けておれ。これがあなたたちに説くわたしたちの教えである。」
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※このページは学問的な正確性を追求するものではありません。前知識のない一般の方でも「読んでみよう!」と思ってもらえるよう、より分かりやすく読み進めるために編集しています。漢字をひらがなに、旧字体を新字体に、送り仮名を現代表記に、( )にふりがなをつけるなど、原文に忠実ではない場合があります。
なお、底本としてパーリ語経典長部の『大般涅槃経』(マハー・パリニッバーナ・スッタンタ)を使用していますが、学問的な正確性を追求する場合、参考文献である『「ブッダ最後の旅」中村元訳 岩波文庫』を読むようおすすめします。なお、章題/節題は比較しやすいよう同じにしました。
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