【仏教用語/人物集 索引】

『教行信証』化身土巻 - 本04

投稿日:1224年1月1日 更新日:

 「三者回向発願心。」(観経)「回向発願心」と言うは、過去及以び今生の身口意業に修する所の世・出世の善根及び他の一切の凡聖の身口意業に修する所の世・出世の善根を随喜して、此の自他所修の善根を以て、悉く皆、真実の深信の心の中に回向して彼の国に生まれんと願ず。故に「回向発願心」と名づくるなり」と。

 又云わく(序分義)、「定善は観を示す縁なり」と。
 又云わく(序分義)、「散善は行を顕す縁なり」と。
 又云わく(散善義)、「浄土の要、逢い難し」と。文 抄出

 又云わく(往生礼讃)、「『観経』の説の如し。先ず三心を具して、必ず往生を得。何等をか三とする。一には至誠心。謂わゆる、身業に彼の仏を礼拝す、口業に彼の仏を讃嘆し称揚す、意業に彼の仏を専念し観察す。凡そ三業を起こすに、必ず真実を須いるが故に、「至誠心」と名づくと。乃至 三には回向発願心。所作の一切の善根、悉く皆回して往生を願ず。故に「回向発願心」と名づく。此の三心を具して必ず生を得るなり。若し一心少けぬれば、即ち生を得ず。『観経』に具に説くが如し。知るべしと。乃至

 又、菩薩は、已に生死を勉れて、所作の善法、回して仏果を求む。即ち是れ自利なり。衆生を教化して未来際を尽くす。即ち是れ利他なり。然るに今の時の衆生、悉く煩悩の為に繫縛せられて、未だ悪道生死等の苦を勉れず。縁に随いて行を起こして、一切の善根、具に速やかに回して、阿弥陀仏国に往生せんと願ぜん。彼の国に到り已りて、更に畏るる所無けん。上の如きの四修、自然任運にして、自利・利他、具足せざること無しと知るべし」と。

 又云わく(往生礼讃)、「若し専を捨てて雑業を修せんと欲する者は、百は時に希に一二を得。千は時に希に五三を得。何を以ての故に。乃し雑縁乱動す。正念を失するに由るが故に。仏の本願と相応せざるが故に。教と相違せるが故に。仏語に順ぜざるが故に。係念相続せざるが故に。憶想間断するが故に。回願慇重真実ならざるが故に。貪瞋・諸見の煩悩来たり間断するが故に。慙愧・懺悔の心有ること無きが故に。

 懺悔に三品有り。乃至 上中下なり。上品の懺悔は、身の毛孔の中より血を流し、眼の中より血出だすをば、「上品の懺悔」と名づく。中品の懺悔は、遍身に熱き汗、毛孔より出ず。眼の中より血の流るるは、「中品の懺悔」と名づく。下品の懺悔は、遍身徹り熱く、眼の中より涙出ずるをば、「下品の懺悔」と名づく。此れ等の三品、差別有りと雖も、是れ久しく解脱分の善根を種えたる人なり。今生に法を敬い、人を重くし、身命を惜しまず、乃至小罪も、若し懺すれば、即ち能く心髄に徹りて、能く此くの如く懺すれば、久近を問わず、所有の重障、皆頓ちに滅尽せしむることを致す。若し此くの如くせざれば、縦使い日夜十二時、急に走むれども、終に是れ益無し。差いて作さざる者は知りぬべしと。流涙・流血等に能わずと雖も、但能く真心徹到するは、即ち上と同じ」と。已上

 又云わく(観念法門)、「総て余の雑業の行者を照摂すと論ぜず」と。

 又云わく(法事讃)、「如来、五濁に出現して、宜しきに随いて方便して群萌を化したまう。或いは多聞にして得度すと説き、或いは少しき解りて三明を証すと説く。或いは福恵双べて障を除くと教え、或いは禅念して座して思量せよと教う。種種の法門、皆、解脱す」と。

 又云わく(般舟讃)、「万劫、功を修せんこと、実に続き難し。一時に煩悩、百たび千たび間わる。若し娑婆にして法忍を証せんことを待たば、六道にして恒沙の劫にも未だ期あらじ。門門不同なるを「漸教」と名づく。万劫苦行して無生を証す。畢命を期として専ら念仏すべし。須臾に命断うれば、仏、迎え将てまします。一食の時、尚、間有り。如何が、万劫、貪瞋せざらん。貪瞋は人天を受くる路を障う。三悪・四趣の内に身を安ず」と。抄要

 又云わく(般舟讃)、「定・散、倶に回して宝国に入れ。即ち是れ如来の異の方便なり。韋提は即ち是れ女人の相、貪瞋具足の凡夫の位なり」と。已上

 『論註』に曰わく、「二種の功徳相有り。一には有漏の心より生じて法性に順ぜず。謂わゆる、凡夫・人天の諸善、人天の果報、若しは因、若しは果、皆是れ顚倒す、皆是れ虚偽なり。故に「不実の功徳」と名づく」と。已上

 『安楽集』に云わく、「『大集経』の「月蔵分」を引きて言わく、「我が末法の時の中に、億億の衆生、行を起こし道を修せんに、未だ一人も得る者有らじ」と。当今は末法なり。是れ五濁悪世には、唯、浄土の一門有りて通入すべき路なり」と。

 又云わく(安楽集)、「未だ一万劫を満たざる已来は、恒に未だ火宅を勉れず。顚倒墜堕するが故に。各おの用功は至りて重く、獲る報は偽なり」と。已上

(化身土巻 - 本 は続く)

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