【仏教用語/人物集 索引】

『教行信証』化身土巻 - 本05

投稿日:1224年1月1日 更新日:

 然るに今、『大本』(大経)に拠るに、真実方便の願を超発す。亦『観経』には、方便真実の教を顕彰す。『小本』(阿弥陀経)には、唯、真門を開きて方便の善無し。是を以て三経の真実は選択本願を宗とするなり。復た三経の方便は即ち是れ諸の善根を修するを要とするなり。

 此れに依りて方便の願を案ずるに、仮有り、真有り。亦行有り、信有り。願は即ち是れ臨終現前の願なり。行は即ち是れ修諸功徳の善なり。信は即ち是れ至心発願欲生の心なり。

 此の願の行信に依りて、浄土の要門・方便権仮を顕開す。此の要門より正・助・雑の三行を出だせり。

 此の「正・助」の中に就いて、専修有り、雑修有り。機に就いて二種有り。一には定機、二には散機なり。

 又二種の三心有り。亦二種の往生有り。「二種の三心」とは、一には定の三心、二には散の三心なり。定・散の心は即ち自利各別の心なり。「二種の往生」は、一には即往生、二には便往生なり。「便往生」は即ち是れ胎生辺地・双樹林下の往生なり。「即往生」は即ち是れ報土化生なり。

 亦此の『経』(観経)に真実有り。斯れ乃ち金剛の真心を開きて、摂取不捨を顕さんと欲す。然れば、濁世能化の釈迦善逝、至心信楽の願心を宣説したまう。報土の真因は信楽を正とするが故なり。

 是を以て、『大経』には「信楽」と言えり。如来の誓願、疑蓋雑わること無きが故に「信」と言えるなり。『観経』には「深心」と説けり。諸機の浅信に対せるが故に「深」と言えるなり。『小本』(阿弥陀経)には「一心」と言えり。二行、雑わること無きが故に「一」と言えるなり。復た一心に就いて、深有り、浅有り。「深」は利他真実の心、是れなり。「浅」は定散自利の心、是れなり。

 宗師(善導)の意に依るに、「心に依りて勝行を起こせり。門、八万四千に余れり。漸・頓則ち各おの所宜に称いて、縁に随う者、則ち皆、解脱を蒙れり」(玄義分)と云えり。

 然るに常没の凡愚、定心、修し難し。息慮凝心の故に。散心、行じ難し。廃悪修善の故に。

 是を以て立相住心、尚、成じ難きが故に、「縦い千年寿を尽くすとも、法眼、未だ曾て開けず」(定善義)と言えり。何に況んや無相離念、誠に獲難し。

 故に「如来、懸かに末代罪濁の凡夫を知ろしめす、立相住心、尚、得ること能わじと。何に況んや相を離れて事を求むるは、術通無き人の、空に居て舎を立てんが如似きなり」(定善義)と言えり。

 「門余」と言うは、「門」は即ち八万四千の仮門なり。「余」は則ち本願一乗海なり。

 凡そ一代の教に就いて、此の界の中にして入聖得果するを、「聖道門」と名づく。「難行道」と云えり。此の門の中に就いて、大・小、漸・頓、一乗・二乗・三乗、権・実、顕・密、竪出・竪超有り。則ち是れ自力・利他教化地・方便権門の道路なり。

 安養浄刹にして入聖証果するを、「浄土門」と名づく。「易行道」と云えり。此の門の中に就いて、横出・横超、仮・真、漸・頓、助・正・雑行、雑修・専修有るなり。

 「正」は五種の正行なり。「助」は名号を除きて已外の五種、是れなり。「雑行」は正・助を除きて已外を、悉く「雑行」と名づく。此れ乃ち、横出、漸教、定散・三福、三輩・九品、自力仮門なり。

 「横超」は本願を憶念して自力の心を離るる、是れを「横超他力」と名づくるなり。斯れ即ち専の中の専、頓の中の頓、真の中の真、乗の中の一乗なり。斯れ乃ち真宗なり。已に「真実行」(行巻)の中に顕し畢りぬ。

 夫れ、「雑行」・「雑修」、其の言、一にして、其の意、惟れ異なり。「雑」の言に於いて万行を摂入す。五正行に対して、五種の雑行有り。「雑」の言は、人天・菩薩等の解行雑せるが故に、「雑」と曰えり。本より往生の因種に非ず。回心回向の善なり。故に「浄土の雑行」と曰うなり。

 復た「雑行」に就いて、専行有り、専心有り。復た雑行有り、雑心有り。「専行」は、専ら一善を修す。故に「専行」と曰う。「専心」は、回向を専らするが故に「専心」と曰えり。「雑行雑心」は、諸善兼行するが故に「雑行」と曰う、定散心雑するが故に「雑心」と曰うなり。

 亦「正・助」に就いて、専修有り、雑修有り。此の雑修に就いて、専心有り、雑心有り。

 「専修」に就いて二種有り。一には唯、仏名を称す。二には五専有り。此の行業に就いて、専心有り、雑心有り。「五専」は、一には専礼、二には専読、三には専観、四には専名、五には専讃嘆なり。是れを「五の専修」と名づく。「専修」、其の言、一にして、其の意、惟れ異なり。即ち是れ定専修なり、復た散専修なり。「専心」は、五正行を専らして二心無きが故に「専心」と曰う。即ち是れ定専心なり、復た是れ散専心なり。

 「雑修」は、助・正兼行するが故に「雑修」と曰う。「雑心」は、定・散の心雑するが故に「雑心」と曰うなり。知るべし。

(化身土巻 - 本 は続く)

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