顕浄土真実信文類三
復有一臣名悉知義
昔者有王名曰羅摩害其父得紹王位 跋提大王 毘楼真王 那睺沙王 迦帝迦王 毘舎佉王 月光明王 日光明王 愛王 持多人王 如是等王皆害其父得紹王位 然無一王入地獄者 於今現在毘瑠璃王 優陀邪王 悪性王 鼠王 蓮華王 如是等王皆害其父悉無一王生愁悩者文
顕浄土真実信文類序
愚禿釈親鸞集
夫れ以みれば、信楽を獲得することは如来選択の願心より発起す。真心を開闡することは大聖矜哀の善巧より顕彰せり。
然るに、末代の道俗、近世の宗師、自性唯心に沈みて浄土の真証を貶す、定散の自心に迷うて金剛の真信に昏し。
爰に愚禿釈の親鸞、諸仏如来の真説に信順して、論家・釈家の宗義を披閲す。広く三経の光沢を蒙りて、特に一心の華文を開く。且く疑問を至して、遂に明証を出だす。誠に仏恩の深重なるを念じて、人倫の哢言を恥じず。浄邦を欣う徒衆、穢域を厭う庶類、取捨を加うと雖も、毀謗を生ずること莫かれと。
至心信楽の願 正定聚の機
顕浄土真実信文類三
愚禿釈親鸞集
謹んで往相の回向を案ずるに、大信有り。
大信心は則ち是れ、長生不死の神方、欣浄厭穢の妙術、選択回向の直心、利他深広の信楽、金剛不壊の真心、易往無人の浄信、心光摂護の一心、希有最勝の大信、世間難信の捷径、証大涅槃の真因、極速円融の白道、真如一実の信海なり。
斯の心、即ち是れ念仏往生の願より出でたり。斯の大願を「選択本願」と名づく、亦「本願三心の願」と名づく、復た「至心信楽の願」と名づく、亦「往相信心の願」と名づくべきなり。
然るに、常没の凡愚、流転の群生、無上妙果の成じ難きに不ず、真実の信楽、実に獲ること難し。何を以ての故に。乃し如来の加威力に由るが故なり。博く大悲広慧の力に因るが故なり。
遇たま浄信を獲ば、是の心、顚倒せず、是の心、虚偽ならず。是を以て極悪深重の衆生、大慶喜心を得、諸の聖尊の重愛を獲るなり。
(「信巻」続く)
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