【仏教用語/人物集 索引】

『教行信証』行巻15

投稿日:1224年1月1日 更新日:

爾れば、大聖の真言に帰し、大祖の解釈に閲して、仏恩の深遠なるを信知して、「正信念仏偈」を作りて曰わく、

無量寿如来に帰命し、不可思議光に南無したてまつる。
法蔵菩薩の因位の時、世自在王仏の所に在して、
諸仏の浄土の因、国土・人天の善悪を覩見して、
無上殊勝の願を建立し、希有の大弘誓を超発せり。

五劫、之を思惟して摂受す。重ねて誓うらくは、名声、十方に聞こえんと。
普く、無量・無辺光・無碍・無対・光炎王・
清浄・歓喜・智慧光・不断・難思・無称光・
超日月光を放ちて、塵刹を照らす。一切の群生、光照を蒙る。
本願の名号は正定の業なり。至心信楽の願を因とす。
等覚を成り大涅槃を証することは、必至滅度の願成就なり。
如来、世に興出したまう所以は、唯、弥陀本願海を説かんとなり。
五濁悪時の群生海、如来如実の言を信ずべし。

能く一念喜愛の心を発すれば、煩悩を断ぜずして涅槃を得るなり。
凡聖・逆謗、斉しく回入すれば、衆水、海に入りて一味なるが如し。
摂取の心光、常に照護したまう。已に能く無明の闇を破すと雖も、
貪愛・瞋憎の雲霧、常に真実信心の天に覆えり。
譬えば、日光の、雲霧に覆わるれども、雲霧の下、明らかにして闇無きが如し。
信を獲て見て敬い大きに慶ぶ人、即ち横に五悪の趣を超截す。
一切善悪の凡夫人、如来の弘誓願を聞信すれば、
仏、広大勝解の者と言えり。是の人を分陀利華と名づく。
弥陀仏の本願念仏は、邪見・憍慢悪衆生、
信楽受持すること甚だ以て難し。難の中の難、斯れに過ぎたるは無し。

印度・西天の論家、中夏・日域の高僧、
大聖興世の正意を顕し、如来の本誓、機に応ぜることを明かす。
釈迦如来、楞伽山にして、衆の為に告命したまわく、南天竺に、
龍樹大士、世に出でて、悉く能く有無の見を摧破せん。
大乗無上の法を宣説し、歓喜地を証して安楽に生ぜんと。
難行の陸路、苦しきことを顕示して、易行の水道、楽しきことを信楽せしむ。
弥陀仏の本願を憶念すれば、自然に即の時、必定に入る。
唯能く常に如来の号を称して、大悲弘誓の恩を報ずべしといえり。

天親菩薩、『論』を造りて説かく、無碍光如来に帰命したてまつる。
修多羅に依りて真実を顕して、横超の大誓願を光闡す。
広く本願力の回向に由りて、群生を度せんが為に一心を彰す。
功徳大宝海に帰入すれば、必ず大会衆の数に入ることを獲。
蓮華蔵世界に至ることを得れば、即ち真如法性の身を証せしむと。
煩悩の林に遊びて神通を現じ、生死の園に入りて応化を示すといえり。
本師曇鸞は、梁の天子、常に鸞の処に向かいて菩薩と礼したてまつる。
三蔵流支、浄教を授けしかば、仙経を焚焼して楽邦に帰したまいき。
天親菩薩の『論』、註解して、報土の因果、誓願に顕す。

往還の回向は他力に由る。正定の因は唯信心なり。
惑染の凡夫、信心発すれば、生死即ち涅槃なりと証知せしむ。
必ず無量光明土に至れば、諸有の衆生、皆普く化すといえり。
道綽、聖道の証し難きことを決して、唯、浄土の通入すべきことを明かす。
万善の自力、勤修を貶す、円満の徳号、専称を勧む。
三不三信の誨、慇懃にして、像・末・法滅、同じく悲引す。
一生、悪を造れども、弘誓に値いぬれば、安養界に至りて妙果を証せしむといえり。
善導、独り仏の正意を明らかなり。定散と逆悪とを矜哀して、

光明名号、因縁を顕す。本願の大智海に開入すれば、
行者、正しく金剛心を受けしめ、慶喜の一念相応して後、
韋提と等しく三忍を獲、即ち法性の常楽を証せしむといえり。
源信、広く一代の教を開きて、偏に安養に帰して一切を勧む。
専雑の執心、浅深を判じて、報・化二土、正しく弁立せり。
極重の悪人は、唯、仏を称すべし。我亦彼の摂取の中に在れども、
煩悩、眼を障えて見ずと雖も、大悲倦きこと無くして常に我を照らしたまうといえり。
本師源空は仏教に明らかにして、善悪の凡夫人を憐愍せしむ。
真宗の教証、片州に興ず。選択本願、悪世に弘む。
生死輪転の家に還来ることは、決するに疑情を以て所止とす。
速やかに寂静無為の楽に入ることは、必ず信心を以て能入とすといえり。
弘経の大士・宗師等、無辺の極濁悪を拯済したまう。
道俗時衆、共に同心に、唯、斯の高僧の説を信ずべしと。

六十行、已に畢りぬ。一百二十句なり。

顕浄土真実行文類二

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