【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第四十七祖。悟空禅師。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第四十七祖。悟空禅師。参丹霞。霞問如何是空劫已前自己。師擬対。霞曰。你閙在且去。一日登鉢盂峯豁然契悟。

【機縁】

師諱清了。道号曰真歇。悟空禅師号也。師母抱懷襁褓入寺。見仏喜動眉睫。咸異之。年十八講法華。得度往成都大慈。習経論領大意。出蜀至江沔漢。扣丹霞室。霞問。如何是空劫已前自己乃至豁然契悟。径帰侍立霞。霞一掌曰。将謂你知有。師欣然拝之。翌日霞上堂曰。日照孤峯翠。月臨溪水寒。祖師玄妙訣莫向寸心安。便下座。師直前曰。今日陞座。更瞞某甲不得。霞曰。你試挙我今日陞座来看。師良久。霞曰。将謂你瞥地。師便出後游五臺。之京師。浮汴直抵長蘆謁祖照。一語契投。命為侍者。踰年分座。未幾。照称疾退閑。命師継席。学者如帰。建炎末游四明至補陀。台住天封。閩之雪峯。詔住育王。徙温州龍翔。杭住径山慈寧皇太后命開山皐寧崇先。

【拈提】

実に襁褓のむかしより不群にして他に異なり。然も尚参禅のこヽろざしをはこぶに。功夫なをいそがしきことあり。ゆへに空劫已前の自己をとひし時。こたへんと擬す。丹霞うけがふことなし。しばらくらしむ。一日鉢盂峯頂にのぼりて。十方壁落なく。四面また門なし。十方目前なる時にいたりて承当す。ゆへにかへり来りて一言を通ぜず。且く侍立す。丹霞かれがあることをしりぬる事を知りて。将謂你知有。時によろこんで礼拝す。丹霞卒に上堂して証明す。のちに出世して上堂曰。我於先師一掌下。伎倆倶尽覓箇開口処不可得。如今還有恁麼快活不徹底漢麼。若無銜鉄負鞍。各自著便。実に夫れ祖師の相見するところ。劫前に歩みをはこび。早く本地の風光をあらはし来る。もしいまだこの田地を看見しゑずんば。千万年のあひだ坐してものいふことなく兀兀として枯木のごとく。死灰のごとくなりともこれ何の用ぞ。然も空劫已前といふをききて。人人あやまりておもふことあり。いはゆる自もなく他もなく。前もなく後もなく。生滅もなく。生仏もなし。よんでつともいふべからず。二ともいふべからす。同とも弁せじ。異ともいはじ。かくのごとく商量計度して。一言もいひゑば。早くたがひぬとおもひ。一念もかへせば。すなはちそむくべしとおもふて。みだりに枯鬼死底をまもり。死人のごとくなるあり。あるひはなにごととしても。あひたがふことなし。山ととくもうべし。河と説もうべし。我と説もうべし。他と説もうべし。又曰く。山といふも山にあらず。河といふも河にあらず。ただこれ山なり。ただこれ河なり。かくのごとくいふ。これ何の所要ぞ。悉く皆な邪路におもむく。あるひは有相に執著し。あるひは落空亡の見におなじくし来るなり。この田地あに有無におつべけんや。故に汝が舌をさしはさむところなく。汝が慮をめぐらすところなし。且つ天によらず。地によらず。前後によらず。脚下ふむところなくして著眼みよ。必ず少分相応のところあらん。あるひはいふ。軌則を絶す。あるひはいふ。氣息を通ぜずと。悉皆趣向辺の事。つゐにをのれにそむきをはりぬ。なにいはんや。月ととき雪ととき。水ととき風ととく。皆おそらくは自の目にまげありて。空華みだれおつ。なにをよんで山とすべき。卒に一法をみず。なににふれてか冷暖とせん。つゐに一法の汝にあたふるなし。ゆへに木につき草につく。世法仏法一時に払ひすてをはりて。更に見来れば。はたしてうたがはじ。内にむかひてみることなかれ。外にむかひて求むることなかれ。念をしづめんとおもふことなかれ。形をやすからしめんとおもふことなかれ。ただしたしくしり。したしく解し。一時に截断して。暫時坐してみよ。四方に一歩をあぐべきところなしといふとも。乾坤に身をさしはさむところなしといふとも。果して汝他のちからをかるべからず。如是して見る時き。皮肉骨髄なんぢが為に分布するなし。生死去来なんぢを改変するなし。皮膚脱落して。ただ一真実のみあり。古に輝き今に耀て。数量時劫をわきまへず。あにただ空劫已前といふのみならんや。すべてこのところ前後をわきまふべきところあらず。ゆへいかんとなれば。この田地成住壊空にうつされず。自他共に無因とわきまふべけんや。外に境界をわすれ。内に縁慮をすて。青天なを棒を喫し。浄裸々なり。赤洒々なり子細に見得し来れば。虚にして霊に。空にして妙なり。いまだ子細にせざれば。終にこのところにいたることなし。実に塵劫の事をほがらかにすること。一彈指のあひだにあり。暫時片時なりとも。擬議の情なく。知解をきざさす。驀面に突眼して見よ。必ず独脱無依ならん。然るを諸参学人。心頭を回してすでにあやまりて趣向す。ただ毫末のたがひとおもふともしるべし。恁麼なれば。千生万劫休歇の分なし。子細に思量し。精到してみよ。他によらず。廓然として開悟せんこと。虚空のごとくならん。且く道へ。いかんがこの道理を少分も通ずることをゑん。

【頒古】

古澗寒泉人不窺。浅深未聴客通来。

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