不自讃毀他戒とは、自分をほめて他人をそしってはならないということ。初期仏教の頃からその趣旨は言われるが、不自讃毀他戒とは後代になって漢訳仏典に出てくる言葉。十重禁戒の一つ。
・「自分をほめたたえ、他人を軽蔑し、みずからの慢心のために卑しくなった人、彼を賤しい人であると知れ。」(スッタニパータ 132偈)
・「あなたの第八の軍隊はみせかけと強情と、誤って得られた利得と名声と尊敬と名誉と、また自己をほめたたえて他人を軽蔑することである。」(スッタニパータ 437-438偈)
・「第七、不自讃毀他。汝従今身至仏身、此戒能持否(汝、今身より仏身に至るまで、此の戒能く持つや否や)。」(「正法眼蔵」受戒)
兄弟子に作法を習っている時にこの一節が出てきましたが、『「不自讃毀他戒」はそのまま読むと「富士山来たかい?」と思われてしまうから、そう聞こえないように途中の発音をのばして読むように!?』という謎な指導を受けたのを思い出します。そういうものなのかなとその時は思いましたが、ここは正しく発音してこそ意味があると今では考えています。
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