【仏教用語/人物集 索引】

ブッダ最後の旅【 第6章 】26、遺骨の分配と崇拝

投稿日:1999年2月15日 更新日:

【 第6章 】

26、遺骨の分配と崇拝

24 さて、マガダ国王であるアジャータシャトルは、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、マガダ国王であるアジャータシャトルは、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師も王族の出身であり、わたしも王族である。わたしもまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。わたしも尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。


(2017年8月 管理人撮影/クシナガラ・ラーマバール塚)

ヴァイシャリに住むリッチャヴィ族は、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、ヴァイシャリに住むリッチャヴィ族は、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師も王族の出身であり、我々も王族である。我々もまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。我々も尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。

カピラ城に住む釈迦族は、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、カピラ城に住む釈迦族は、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師は我々の親族の内で最も偉い人である。我々もまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。我々も尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。

また、アッラカッパに住むブリ族は、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、アッラカッパに住むブリ族は、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師も王族の出身であり、我々も王族である。我々もまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。我々も尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。

ラーマ村に住むコーリヤ族は、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、ラーマ村に住むコーリヤ族の人々は、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師も王族の出身であり、我々も王族である。我々もまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。我々もまた尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。

ヴェータディーパに住むあるバラモンは、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、ヴェータディーパに住むあるバラモンは、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師も王族の出身であり、わたしはバラモンである。わたしもまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。わたしも尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。

パーヴァーに住むマッラ族は、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、パーヴァーに住むマッラ族は、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師も王族の出身であり、我々も王族である。我々もまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。我々もまた尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。

25 彼らがこのように言った時に、クシナガラのマッラ族は、かの集まった人々に、このように言った。
尊師は我々の村の土地でお亡くなりになったのである。我々は尊師の遺骨の一部分をも与えないであろう」と。

彼らがこのように言った時に、ドーナ・バラモンは、かの集まった人々に、このように言った。
「君らよ。聞け、我が一言を。
我らのブッダは『耐え忍ぶこと』を説く方でありました。
最上の人の遺骨を分配する為に争うのは善くありません。
君らよ。君らは全て一致協力して、仲良くして下さい。我らは共に喜び合ってご遺骨を八つの部分に分けましょう。
広く諸方にストゥーパがあって欲しいものだ。
あなた方ばかりではなく、多くの人々は眼ある人(ブッダ)を信じています」と。

「それでは、バラモンよ。あなたは尊師の遺骨を八つの部分に分けて、平等に上手く分配なさい。」
「承知しました」と、ドーナ・バラモンはその集いの人々に答えて、尊師の遺骨を八つの部分に分けて、平等に上手く分配して、かの集いの人々にこう言った。
「みなさん。この瓶をわたしに下さい。わたしもまた、尊師の遺骨を納めた瓶をまつるためのストゥーパをつくり、祭りををおこないましょう」と。
彼らは、ドーナ・バラモンに瓶を与えた。

26 ピッパリ林にいるモーリヤ族は、「尊師クシナガラでお亡くなりになったそうだ」ということを聞いた。
そこで、ピッパリ林にいるモーリヤ族は、クシナガラに住むマッラ族に使者を遣わして、「尊師も王族の出身であり、わたしも王族である。わたしもまた尊師の遺骨(舎利)の一部分の分配を受ける資格がある。わたしも尊師の遺骨を納めるストゥーパ(舎利塔)をつくって、祭りを行いましょう」と言った。

尊師の遺骨は一部分も残っていない。尊師の遺骨はすでに分配された。だから、灰を持って行きなさい。」
それ故に、彼は灰を持ち去った。

27 そこで、マガダ国王であるアジャータシャトルは、王舎城に、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

ヴァイシャリに住むリッチャヴィ族は、ヴァイシャリに、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

カピラ城に住む釈迦族も、カピラ城に、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

アッラカッパに住むブリ族も、アッラカッパに、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

ラーマ村に住むコーリヤ族も、ラーマ村に、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

ヴェータディーパに住むあるバラモンたちも、ヴェータディーパに、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

パーヴァーに住むマッラ族も、パーヴァーに、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

クシナガラに住むマッラ族も、クシナガラに、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

ドーナ・バラモンも、瓶のストゥーパをつくり、祭りを行なった。

ピッパリ林に住むモーリヤ族も、ピッパリ林に、尊師の遺骨の為にストゥーパをつくり、また、祭りを行なった。

こういうわけで、八つの遺骨のストゥーパと、第九に瓶のストゥーパと、第十に灰のストゥーパとがある。
以上のように、これはかつて起こった昔の出来事なのである。

28 眼ある人の遺骨は八斛(こく)ある。
七斛はインドで供養される。
最上の人(ブッダ)の他の一斛の遺骨は、ラーマ村で諸々の竜王が供養する。
一つの歯は三十三天で供養され、
また、一つの歯はガンダーラ市で供養される。
また、一つの歯はカリンガ王の国において供養される。
また、一つの歯を諸々の竜王が供養している。
その威光によってこの豊かな大地は、
最上の供養物をもって飾られているのである。
このように、この眼ある人(ブッダ)の遺骨は、
よく崇拝され、種々にいともよく崇拝されている。
天王(神々の王)・諸々の竜王・人王に供養され、
最上の人々によってこのように供養されている。
合掌して、彼を礼拝せよ。
実にブッダは百にも会うこと難し。

大パリニッバーナ経 終わる

⇒ 目次(はじめに戻る)

※このページは学問的な正確性を追求するものではありません。前知識のない一般の方でも「読んでみよう!」と思ってもらえるよう、より分かりやすく読み進めるために編集しています。漢字をひらがなに、旧字体を新字体に、送り仮名を現代表記に、( )にふりがなをつけるなど、原文に忠実ではない場合があります。

なお、底本としてパーリ語経典長部の『大般涅槃経』(マハー・パリニッバーナ・スッタンタ)を使用していますが、学問的な正確性を追求する場合、参考文献である『「ブッダ最後の旅」中村元訳 岩波文庫』を読むようおすすめします。なお、章題/節題は比較しやすいよう同じにしました。

<< 戻る

-仏教を本気で学ぶ
-, , , , , , ,



Copyright © 1993 - 2024 寺院センター All Rights Reserved.