マハーナーマ Mahānāma(巴) 摩訶男(まかなん) マハーナーマン Mahānāman(梵) 仏典には同名別人と考えられる人物がいくつか存在し混同されやすいです。
マハーナーマは、釈迦族のドロノダーナ(斛飯王)、あるいはアムリトダーナ(甘露飯)のどちらかの太子で、兄弟にアニルッダ(阿那律)がいます。お釈迦様とは親類で従兄弟です。またお釈迦様が成道した後は在家の弟子になりました。
ある日、パセーナディ王は釈迦族から妃を迎えたいと要請しました。断わった場合、釈迦族を攻めるつもりだったといわれます。
釈迦族は他の民族とは婚姻しないという伝統があったともいわれ、その血筋の誇り高さから一計を案じ、マハーナーマが召使に生ませた娘マッリカーを妃として差し出すことにしました。
その2人の間にはヴィドゥーダバ(瑠璃王)が生まれましたが、8歳になった頃、王に命じられ母親の実家である釈迦族の城へ行って弓術を学ぶことになりました。そこで自身が身分の低い召使の子であることを知らされます。
パセーナディ王もこの事実を知ると、妃とヴィドゥーダバに嫌悪感を持ち、城から追い出し粗末な生活をさせましたが、お釈迦様の説得によって元の生活に戻ったといわれます。
ヴィドゥーダバは成長すると、パセーナディ王の留守中を狙って王位を奪います。ヴィドゥーダバ王は怨みより釈迦族を殲滅する為に進軍します。
その際、マハーナーマはヴィドゥーダバ王に「私が水中に沈んでいる間に逃げた釈迦族の人は助けてやって欲しい」と懇願し、それが受け入れられるのですが、長い間、浮いてこないので、ヴィドゥーダバ王が不審に思い確かめさせると、マハーナーマは水中の樹木に自身の髪の毛を括りつけ死んでいました。これにより多くの釈迦族が死を免れたといわれます(『増一阿含経』34)。
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