【仏教用語/人物集 索引】

『教行信証』証巻

投稿日:1224年1月1日 更新日:

顕浄土真実証文類四

必至滅度の願
難思議往生

顕浄土真実証文類四

愚禿釈親鸞集

 謹んで真実証を顕さば、則ち是れ利他円満の妙位、無上涅槃の極果なり。即ち是れ必至滅度の願より出でたり。亦「証大涅槃の願」と名づくるなり。

 然るに、煩悩成就の凡夫、生死罪濁の群萌、往相回向の心行を獲れば、即の時に大乗正定聚の数に入るなり。正定聚に住するが故に、必ず滅度に至る。必ず滅度に至るは即ち是れ常楽なり。常楽は即ち是れ畢竟寂滅なり。寂滅は即ち是れ無上涅槃なり。無上涅槃は即ち是れ無為法身なり。無為法身は即ち是れ実相なり。実相は即ち是れ法性なり。法性は即ち是れ真如なり。真如は即ち是れ一如なり。

 然れば、弥陀如来は如より来生して、報・応・化、種種の身を示し現したまうなり。

 必至滅度の願文、『大経』に言わく、「設い我、仏を得んに、国の中の人天、定聚に住し、必ず滅度に至らずは、正覚を取らじ」と。已上

 『無量寿如来会』に言わく、「若し我成仏せんに、国の中の有情、若し決定して等正覚を成り、大涅槃を証せずは、菩提を取らじ」と。已上

 願成就文、『経』(大経)に言わく、「其れ衆生有りて、彼の国に生まるれば、皆悉く正定の聚に住す。所以は何ん。彼の仏国の中には、諸の邪聚及び不定聚無ければなり」と。

 又言わく(大経)、「彼の仏国土は、清浄安穏にして微妙快楽なり。無為泥洹の道に次し。其れ諸の声聞・菩薩・天・人、智慧高明にして神通洞達せり。咸く同じく一類にして、形、異状無し。但、余方に因順するが故に、人天の名有り。顔貌端政にして、世に超えて希有なり。容色微妙にして、天に非ず人に非ず。皆、自然虚無の身・無極の体を受けたるなり」と。

 又言わく(如来会)、「彼の国の衆生、若し当に生まれん者、皆悉く無上菩提を究竟し、涅槃の処に到らしめん。何を以ての故に。若し邪定聚及び不定聚は、彼の因を建立せることを了知すること能わざるが故なり」と。已上、要を抄きいず。

 『浄土論』(論註)に曰わく、「「荘厳妙声功徳成就は、偈に「梵声悟深遠 微妙聞十方」の故にと言えり」(論)と。此れ云何ぞ不思議なるや。『経』に言わく、「若し人、但、彼の国土の清浄安楽なるを聞きて、剋念して生まれんと願ぜんものと、亦往生を得るものとは、即ち正定聚に入る。」此れは是れ国土の名字、仏事を為す。安んぞ思議すべきやと。

 「荘厳主功徳成就は、偈に「正覚阿弥陀 法王善住持」の故にと言えり。」(論)此れ云何が不思議なるや。正覚の阿弥陀、不可思議にまします。彼の安楽浄土は正覚阿弥陀の善力の為に住持せられたり。云何が思議することを得べきや。「住」は不異不滅に名づく。「持」は不散不失に名づく。不朽薬を以て種子に塗りて、水に在くに蘭れず、火に在くに燋れず。因縁を得て、即ち生ずるが如し。何を以ての故に。不朽薬の力なるが故なり。若し人、一たび安楽浄土に生ずれば、後の時に、意、三界に生まれて衆生を教化せんと願じて、浄土の命を捨てて願に随いて生を得て、三界雑生の火の中に生まると雖も、無上菩提の種子、畢竟じて朽ちず。何を以ての故に。正覚阿弥陀の善く住持を逕るを以ての故にと。

 「荘厳眷属功徳成就は、偈に「如来浄華衆 正覚華化生」の故にと言えり。」(論)此れ云何ぞ不思議なるや。凡そ是れ雑生の世界には、若しは胎、若しは卵、若しは湿、若しは化、眷属若干なり。苦楽万品なり。雑業を以ての故に。彼の安楽国土は、是れ阿弥陀如来正覚浄華の化生する所に非ざること莫し。同一に念仏して別の道無きが故に。遠く通ずるに、夫れ四海の内、皆、兄弟とするなり。眷属無量なり。焉んぞ思議すべきや。」

 又言わく(論註)、「往生を願う者、本は則ち三三の品なれども、今は一二の殊無し。亦淄澠 食陵の反 の一味なるが如し。焉んぞ思議すべきや。」

 又『論』(論註)に曰わく、「「荘厳清浄功徳成就は、偈に「観彼世界相 勝過三界道」の故にと言えり。」(論)此れ云何ぞ不思議なるや。凡夫人の煩悩成就せる有りて、亦彼の浄土に生ずることを得れば、三界の繫業、畢竟じて牽かず。則ち是れ煩悩を断ぜずして涅槃分を得。焉んぞ思議すべきや。」已上抄要

 『安楽集』に云わく、「然るに二仏の神力、亦斉等なるべし。但釈迦如来、己が能を申べずして、故らに彼の長ぜるを顕したまうことは、一切衆生をして斉しく帰せざること莫からしめんと欲してなり。是の故に釈迦、処処に嘆帰せしめたまえり。須く此の意を知るべしとなり。是の故に曇鸞法師の正意、西に帰るが故に、『大経』に傍えて奉讃して曰わく、「安楽の声聞・菩薩衆・人天、智慧咸く洞達せり。身相荘厳、殊異無し。但、他方に順ずるが故に名を列ぬ。顔容端政にして比ぶべき無し。精微妙軀にして人天に非ず。虚無の身・無極の体なり。是の故に平等力を頂礼したてまつる」(讃阿弥陀仏偈)と。」已上

(証巻は続く)

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