【仏教用語/人物集 索引】

『教行信証』信巻22

投稿日:1224年1月1日 更新日:

 光明寺の和尚(善導)の云わく(散善義)、「問うて曰わく、四十八願の中の如きは、唯、五逆と誹謗正法とを除きて往生を得しめず。今此の『観経』の下品下生の中には、誹謗を簡いて五逆を摂せるは、何意か有るや。

 答えて曰わく、此の義、仰いで抑止門の中に就いて解す。四十八願の中の如き、謗法・五逆を除くことは、然るに此の二業、其の障極重なり。衆生、若し造れば、直ちに阿鼻に入りて歴劫周章して出ずべきに由無し。但如来、其れ斯の二の過を造らんを恐れて、方便して止めて「往生を得ず」と言えり。亦是れ摂せざるには不ざるなり。又、下品下生の中に五逆を取りて謗法を除くことは、其れ五逆は已に作れり。捨てて流転せしむべからず。還りて大悲を発して摂取して往生せしむ。然るに謗法の罪は、未だ為らざれば、又止めて、「若し謗法を起こさば、即ち生ずることを得じ」と言う。此れは未造業に就いて解するなり。若し造らば、還りて摂して生を得しめん。彼に生ずることを得と雖も、華合して多劫を逕ん。此れ等の罪人、華の内に在る時、三種の障有り。一には仏及び諸の聖衆を見ることを得じ。二には正法を聴聞することを得じ。三には歴事供養を得じと。此れを除きて已外は、更に諸の苦無けんと。『経』(悲華経)に云わく、「猶、比丘の三禅の楽に入るが如きなり」と。知るべし。華の中に在りて、多劫開けずと雖も、阿鼻地獄の中にして長時永劫に諸の苦痛を受けんに勝れざるべけんや。此の義、抑止門に就いて解し竟りぬ」と。已上

 又云わく(法事讃)、「永く譏嫌を絶ち、等しくして憂悩無し。人天・善悪、皆、往を得。彼に到りて殊なること無し。斉同不退なり。何意か然るとならば、乃し弥陀の因地にして、世饒王仏の所にして位を捨てて家を出ず。即ち悲智の心を起こして、広く四十八願を弘めしめたまいしに由りてなり。仏願力を以て、五逆と十悪と、罪滅し生を得しむ。謗法・闡提、回心すれば皆往く」と。抄出

 「「五逆」と言うは、若し淄州に依るに五逆に二有り。一には三乗の五逆なり。謂わく、「一には故らに思いて父を殺す。二には故らに思いて母を殺す。三には故らに思いて羅漢を殺す。四には倒見して和合僧を破す。五には悪心をもって仏身より血を出だす。恩田に背き福田に違するを以ての故に、之を名づけて「逆」とす。此の逆を執する者は、身壊れ命終えて、必定して無間地獄に堕して、一大劫の中に無間の苦を受けん。「無間業」と名づく」と。

 又『倶舎論』の中に五無間の同類の業有り。彼の頌に云わく、「母・無学尼を汚す 母を殺する罪の同類。住定の菩薩 父を殺する罪の同類、及び有学・無学 羅漢を殺する同類 を殺す。僧の和合縁を奪う 破僧罪の同類。率都波を破壊する 仏身より血を出だす。」

 二には大乗の五逆なり。『薩遮尼乾子経』に説くが如し。「一には塔を破壊し経蔵を焚焼する、及以び三宝の財物を盗用する。二には三乗の法を謗りて聖教に非ずと言いて障破留難し、隠蔽落蔵する。三には一切出家の人、若しは戒・無戒・破戒のものを打罵し呵責して過を説き、禁閉し還俗せしめ、駆使債調し断命せしむる。四には父を殺し、母を害し、仏身より血を出だし、和合僧を破し、阿羅漢を殺するなり。五には謗じて因果無く、長夜に常に十不善業を行ずるなり」と。已上

 彼の『経』(地蔵十輪経)に云わく、「一には不善心を起こして独覚を殺害する、是れ殺生なり。二には羅漢の尼を婬する、是れを邪行と云うなり。三には所施の三宝物を侵損する、是れ不与取なり。四には倒見して和合僧衆を破する、是れ虚誑語なり。」」略出

顕浄土真実信文類三

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