【仏教用語/人物集 索引】

『教行信証』信巻16

投稿日:1224年1月1日 更新日:

 爾の時に、大医、名づけて「耆婆」と曰う。王の所に往至して白して言さく、「大王。安んぞ眠ることを得んや不や」と。

 王、偈を以て答えて言わまく、乃至 「耆婆。我今、病重し。正法の王に於いて悪逆害を興ず。一切良医・妙薬・呪術・善巧瞻病の治すること能わざる所なり。何を以ての故に。我が父法王、法の如く国を治む。実に辜無し。横に逆害を加す。魚の陸に処するが如し。乃至 我、昔曾て、智者説きて言うことを聞きき。「身口意業、若し清浄ならずは、当に知るべし、是の人、必ず地獄に堕せんと。」我亦是くの如し。云何ぞ当に安穏に眠ることを得べきや。今、我、又、無上の大医無し。法薬を演説せんに、我が病苦を除きてんや。」

 耆婆、答えて言さく、「善いかな、善いかな。王、罪を作すと雖も、心に重悔を生じて慙愧を懐けり。大王。諸仏世尊、常に是の言を説きたまわく、「二の白法有り、能く衆生を救く。一には慙、二には愧なり。「慙」は自ら罪を作らず、「愧」は他を教えて作さしめず。「慙」は内に自ら羞恥す、「愧」は発露して人に向かう。「慙」は人に羞ず、「愧」は天に羞ず。是れを「慙愧」と名づく。無慙愧は、名づけて「人」とせず、名づけて「畜生」とす。」慙愧有るが故に、則ち能く父母・師長を恭敬す。慙愧有るが故に、父母・兄弟・姉妹有ることを説く。善いかな、大王。具に慙愧有りと。乃至 王の言う所の如し、「能く治する者無けん。」大王、当に知るべし。迦毘羅城に浄飯王の子、姓は瞿曇氏、「悉達多」と字づく。師無くして自然に覚悟して阿耨多羅三藐三菩提を得たまえりと。乃至 是れ仏世尊なり。金剛智有して、能く衆生の一切悪罪を破せしむること、若し能わずと言わば、是の処有ること無けんと。乃至 大王。如来、弟提婆達多有り。衆僧を破壊し、仏身より血を出だし、蓮華比丘尼を害す。三逆罪を作れり。如来、為に種種の法要を説きたまうに、其の重罪をして、尋ち微薄なることを得しめたまう。是の故に如来を大良医とす。六師には非ざるなり」と。乃至

 「大王。一逆を作れば、則便ち具に是くの如き一罪を受く。若し二逆罪を造らば、則ち二倍ならん。五逆具ならば、罪も亦五倍ならんと。大王、今定んで知りぬ。王の悪業、必ず勉るることを得じ。惟願わくは大王、速やかに仏の所に往ずべし。仏世尊を除きて余は、能く救うこと無けん。我今、汝を愍れむが故に相勧めて導くなり」と。

 爾の時に大王、是の語を聞き已りて、心に怖〔或る本、「惶」の字に作る。〕懼を懐けり。身を挙げて戦慓す。五体扌辛動して苞蕉樹の如し。仰いで答えて曰わく、「天に是れ誰とかせん。色像を現ぜずして、但、声のみ有ることは。」

 「大王。吾是れ汝が父頻婆沙羅なり。汝、今当に耆婆の所説に随うべし。邪見六臣の言に随うこと莫かれ。」
 時に聞き已りて、悶絶躃地す。身の瘡増劇して臭穢なること、前よりも倍れり。冷薬を以て塗り、瘡を治療すと雖も、瘡蒸し。毒熱、但増せども損ずること無し」と。已上略出

一大臣、「日月称」と名づく。     一「富闌那」と名づく。
二「蔵徳」              二「末伽梨拘賖梨子」と名づく。
三一臣有り、名づけて「実徳」と曰う。 三「那闡邪毘羅肱子」と名づく。
四一臣有り、「悉知義」と名づく。   四「阿耆多翅金欽婆羅」と名づく。
五大臣、名づけて「吉徳」と曰う。   五「婆蘇仙」
六「加羅鳩駄迦旃延」         六「尼乾陀若犍子」と名づく。

(「信巻」続く)

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