【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第五十祖。天童浄和尚。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第五十祖。天童浄和尚。参雪竇。竇問曰。浄子不会染汚処。如何浄得。師経一歳余。忽然豁悟曰。打不染汚処。

【機縁】

師者越上人事也。諱如浄。従十九歳捨教学。参祖席。投雪竇会。便経一歳。尋常坐禅拔群。有時因望浄頭。時竇問曰。不会染汚処。如何浄得。若道得汝充浄頭。師無措。経両三箇月。猶未道得。有時請師到方丈。問曰。先日因縁道得乎。師擬議。時竇示曰。浄子不会染汚処。如何浄得。師不答。経一歳余。竇又問曰。道得。師未道得。時竇曰。脱旧窠当得便宜。如何不道得。従然師聞得力勵志功夫。一日忽然豁悟。上方丈即曰。某甲道得。竇曰。這回道得。師打不染汚処。声未畢。竇即打。師流汗礼拝。竇即許可。後浄慈に有て。彼開発の因縁を報ぜん為に。浄頭たり。有時羅漢堂の前をすぎしに。異僧ありて。師にむかひて曰く。浄慈浄頭浄兄主。報道報師報衆人といひおはりて。忽然としてみへず。大臣丞相ききてうらなふて曰く。聖の浄慈に主たることを許す兆なり。のちに果して浄慈に主たり。諸方皆ないふ。師の報徳実にいたれり。十九歳の時発心してより。のち叢林に掛錫して。ふたたび郷里にかへらず。しかのみならず。郷人とものがたりせず。すべて諸寮舍にいたることなし。また上下肩隣位にあひかたらず。只管打坐するのみなり。ちかひて曰く。金剛坐を坐破せんと。かくのごとく打坐するによりて。有時臀肉のうがてる時もあり。然もなを坐をやめず。初発心より天童に住するに。六十五歳におよぶまで。未礙蒲団日夜あらず。はじめ浄慈に住せしより。瑞巌をよび天童にいたるまで。その操行他に異なり。いはゆるちかひて僧堂に一如ならんといふ。故に芙蓉よりつたはれる衲衣ありといへども搭せず。上堂入室ただ黒色の袈裟裰子を著く。嘉定の皇帝より紫衣師号を賜まはるといへども。上表辞謝す。なを神秘して平生卒に不顯嗣承。終焉のきざみ法嗣の香をたく。ただ世間愛名をうとくするのみにあらず。また宗家の嘉名をもおそるるなり。実に道徳当世にならびなく。操行古今に不群なり。つねに自称して曰く。一二百年祖師の道すたる。ゆへに一二百年よりこのかた。わがごとくなる知識いまだいでずと。ゆへに諸方悉くをそれおののく。師はかつて諸方をほめず。よのつねにいはく。われ十九歳よりこのかた発心行脚するに。有道の人なし。諸方の席主。おほくは祇管に官客と相見し。僧堂裏都て不管なり。つねに曰く。仏法は各自理会すべし。かくのごとくいふて衆をこしらふことなし。いま大刹の主たる。なをかくのごとく胸襟無事なるをもて道とおもひ。かつて参禅を要せず。他の那裏になんの仏法かあらん。もし渠れが道がごとくならば。なんぞ尋常訪道の老古錐あらんや。わらひぬべし。祖師の道夢にもみざることあり。平侍者が日録に。おほく師の有徳をしるせる中に。稍提挙州府につきて上堂を請せしに。一句道得なかりしゆへに。一万鋌の銀子。卒にうくることなくしてかへしき。一句道得なき時。他の供養をうけざるのみにあらず。名利をもうけざるなり。ゆへに国王大臣に親近せず。諸方の雲水の人事すらうけず。道徳実に人に群せず。故に道家の流の長者に道昇といふあり。徒衆五人ちかひて師の会に参ず。われ祖師の道を参得せずんば一生古郷にかへらじ。師こころざしを随喜し。あらためずして入室をゆるす。排列の時に。すなわち比丘尼の次に著しむ。世にまれなりとする処ろなり。また善如もいひしは。われ一生師の会にありて。卒に南にむかひて一歩をはこばじと。かくのごとくこころざしをはこんで。師の会をはなれざるたぐひをほし。普園頭といひしはかつて文字をしらず。六十余にてはじめて発心す。しかれども師低細にこしらひしによりて。卒に祖道をあきらめ。園頭たりといへども。をりをり奇言妙句をはく。ゆへにあるとき上堂曰。諸方の長老普園頭におよばずと。うつして蔵主となす。実に有道の会には。有道の人おほく。道心の人おほし。よのつねただ人をして打坐をすすむ。常に云。不用焼香礼拝念仏修懺看経。秖管打坐と示して。ただ打坐せしめしのみなり。つねに曰く。参禅は有道心。これはじめなり。実にたとひ一知半解ありとも。道心なからんたぐひ。所解を保持せず。卒に邪見に墮在し。若苴放逸ならん。附仏法の外道なるべし。ゆへに諸人者第一道心の事をわすれず。一一に心をいたらしめ。実をもつはらにして。当世に群せず。すすんで古風を学すべし。

【拈提】

実にかくのごとくならば。みづからたとひ会得せずといふとも。本来不会染汚人ならん。もしこれ不会染汚ならば。あにこれ本来明浄人にあらざらんや。故にいふ。本来染汚せず。このなにをかきよめん。旧窠を脱して便宜をゑたりと。それ古仏のまふけ。もとより一知半解をおこさしめず。一処に修練せしめ。こころざしを一義にして私せず。ゆへに十二時中浄穢の所見なく。おのづからこれ不染汚なり。しかれどもなを染汚の所見をまぬかれず。掃箒をもちゆる眼あり。あきらめずして一歳余をふるに。一度皮膚のもぬくべきなく。身心の脱すべきなきことをゑて。打不染汚処といふ。なを恁麼なりといへども。早く一点をつくる。ゆへに道ふ声いまだをはらざるに。すなはち打す。時に通身にあせながれて。早く身をすて。ちからをゑおはりぬ。実にしりぬ。本来明浄にして。すべて染汚をうけざることを。故に尋常に曰く。参禅は身心脱落と。且く道へ。如何んが是れ這の不染汚底。

【頒古】

道風遠扇堅金剛。匝地為之所持来。

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