【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第四十九祖。雪竇鑑禅師。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第四十九祖。雪竇鑑禅師。宗玨主天童時。一日上堂挙。世尊有密語。迦葉不覆蔵。師聞頓悟玄旨。在列流涙。不覚失言曰。吾輩為什麼不従来。玨上堂罷。呼師問曰。汝在法堂。何為流涙。師曰。世尊有密語。迦葉不覆蔵。玨許可曰。何非雲居懸記。

【機縁】

師諱智鑑。滁州呉氏子。兒時母与洗師手瘍問曰是甚麼。対曰。我手似仏手。長失持怙。依真歇於長蘆。時宗玨首衆。即器之。後遯象山。百怪不能惑。深夜開悟。求証於延寿。然復玨和尚に参ず。宗玨時に天童に住しき。師をして書記にあてしむ。玨一日さきの因縁を挙す。夫れこの因縁は涅槃経よりいでたり如来性品第四之二いはゆる。爾時迦葉菩薩。白仏言。世尊如仏所説。諸仏世尊有秘密語。是義不然。何以故。諸仏世尊唯有密語。無有密蔵。譬如幻主機関木人。人雖覩見屈伸俯仰。莫知内而使之然。仏法不爾。咸令衆生悉得知見。云何当言諸仏世尊有秘密蔵。仏讃迦葉。善哉善哉。善男子。如汝所言。如来実無秘密之蔵。何以故。如秋満月処空顯露清浄無翳。人皆覩見。如来之言亦復如是。開発顯露清浄無翳。愚人不解。謂之秘蔵。智者了達則不名蔵。然しよりこの語。祖師門下にもちゐ来ることひさしし。ゆへに今も挙するに智鑑開悟。実に覆蔵せず。

【拈提】

夫れ一切の言をきかんに。必ず心を会すべし。言にとどこふることなかれ。火といふこれ火にあらず。水といふ水にあらず。ゆへに火をかたるにくちをやかず。水をかたるにくちをうるをさず。しりぬ水火実に言にあらず。石頭和尚曰。承言須会宗。自勿立規矩。又薬山曰。更宜自看。不得絶言語。我今為汝説這箇語。顯無語底。他那箇本来無耳目等貎。又長慶曰。二十八代皆説伝心。不説伝語。又雲門大師曰。祇此れ箇の事。若在言語上。三乗十二分教。豈是無言語。因什麼道教外別伝。若従学解機智。祇如十地聖人。説法如雲如雨。猶被訶責ひ見性如隔羅穀。以此故知。一切有心天地懸殊。雖然如是。若是得底人道火何会焼口。終日説事未甞挂著唇齒。未会道著一字。ゆへに諸人言のなきのみにあらず。またくちなきものあることをしるべし。あに口なきのみならんや。眼もなく。四大六根もとより一毫もなし。かくのごとくなりといへども。これ空なるにあらず。ものなきにあらず。いはゆる汝等物を見も声を聞も。この眼の見にあらず。耳の聞にあらず。これ箇の無面目の漢の如是なるなり。汝等の身心とそなゑ来るところ。これ箇の漢のなし来るところなり。ゆへにこの身心悉くこれ造作の法にあらず。ここにいたらずして。すなはちおもはく。あるひは父母縁起の身と。また業報所生の身と。ゆへに赤白二滴の身なりとおもひ。皮肉を帯せる身なりとおもふ。悉く自己をあきらめざるに依りてかくのごとし。故に此のところをしらしめんとして。知識無量の方便手段をもて。六根悉く亡ぜしめ。一切みなやましむ。この時更に亡じゑざるものあり。やぶれゑざるものあり。必ず識得し来るに。空有にをちず。明暗にあらず。ゆへに迷へるものともいひがたし。悟れるものともいひがたし。ゑへにこの田地を仏ともいはず。法ともいはず。心ともいはず。性ともいはず。ただ赫赫々たるひかり。明々とあるばかりなり。ゆへに火光水光にもあらず。ただ廓然として明々たるのみなり故にうかがはんとすれどもうかがはれず。ゑんとすれどもゑられず。惺々たるのみなり。ゆへに火水風の三災おこり。世界壊する時。このものやぶれず。三界六道おこりて。万像森羅儼然たる時。このもの変ぜず。ゆへに仏もいかんともせず。祖師もいかんともせず。諸人者まづこのところにしたしくいたらんとおもはば。しばらく両眼をとぢ。一息たへて。この身おゑて。をほふべき家なくして。一切の用処ことごとくもて要とせず。あだかも青天に雲なきがごとく。大海に波浪なきがごとくにして。少分相応あり。この時又なんぢをして。いかんともするなしといへども。更に一段の光明あり。これ青天に月あり。日あるがごときにあらず。漫天これ月なり。すべてものをてらすことなし。尽界これ日なり。あへてかがやくところなし。子細にして承当すべし。若しこのところを見得せずんば。徒に僧俗男女にまよへるのみにあらず。三界六道に輪回す。仏弟子としてかたちを僧形にそなへながら。なを閻羅老子の手にかからん。あに耻辱にあらざらんや。釈尊の仏法沙界にみちみちて。いたらざるところなし。参到せんになんぞいたらざらん。この人身たやすく受るところにあらず。むかしの善根力によりてうけ来るところなり。もし一度このところにいたらば。悉く解脱せん。男女にあらず。神鬼にあらず。凡聖にあらず。僧俗にあらず。おさめんとするにところなし。みんとするにまなこいたらず。もしこの田地にいたりゑば。僧なりといへども僧にあらず。俗なりといへども俗にあらず。六根にまどはされず。六識につかはれず。若しいたらずんば。如是事に悉くまどひしばられもてゆかん。あにあしからざらんや。元来具足す。なをいとなみていたるべくは。ちからをついやすべし。なにいはんや。人人にかげたるところなしといへども。一度眼見にまどひしより。いくばく流転をうくることかなしむべし。ただ根境を亡じ。心識によらず。低細にしてみよ。必ずいたるべし。ただ漸漸にいたるべきにあらず。一度憤発の勢ひをおこして契ふべし。暫時なりといへども。一知半解をおこすことなく。真に根源を識得していたるべし。一度いたりなば。四稜蹈地にして。八風吹不動。古人曰。学道如鑚火。逢煙且莫休。一度ちからをつくす時火をうるなり。いはゆる煙といふはこれいづれのところぞ。若し知識の好手にあふ時。一念不起のところ。これ煙にあふ時節なり。ここにとどこほりて。やがてやむは。これあたたかなるにやむるがごとし。然れば進て火をみるべし。いはゆる不起一念なるものをよくしるなり。もし自己を識得せずんば。今は休するに似たりとも。これをもて枯木のごとくなりとも。魂不散底の死人なり。ゆへにこのところに。したしく承当せんとおもはば。参徹してうべし。坐定によらず。蝦の語をなさず。いかならんかこれこの密語覆蔵せざる道理可謂。

【頒古】

金剛堅密身其。身空廓明明哉。

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