【仏教用語/人物集 索引】

スッタニパータ【第4 八つの詩句の章】14、迅速

投稿日:0202年5月28日 更新日:

915 問うていわく「太陽の裔である偉大な仙人(ブッダ)、あなたに、遠ざかり離れることと平安の境地とをおたずねします。修行者はどのように観じて、世の中のものを執することなく、安らいに入るのですか?」

916 ブッダ)は答えた、「我は考えて、有るという迷わせる不当な思惟の根本を全て制止せよ。内に存するいかなる妄執をもよく導くために、常に心して学べ。

917 内的にでも外的にでも、いかなる事柄をも知りぬけ。しかしそれによって慢心を起こしてはならない。それが安らいであるとは真理に達した人々は説かないからである。

918 これ(慢心)によって「自分は勝れている」と思ってはならない。「自分は劣っている」とか、また「自分は等しい」とか思ってはならない。色々な質問を受けても、自己を妄想せずにおれ。

919 修行者は心のうちが平安となれ。外に静穏を求めてはならない。内面的に平安となった人には取り上げられるものは存在しない。どうして捨てられるものがあろうか。

920 海洋の奥深いところでは波が起こらないで、静止しているように、静止して不動であれ。修行者は何ものについても欲念をもり上げてはならない。」

921 質問者いわく、「眼を開いた人は、みずから体験した事柄、危難の克服を説いてくださいました。願わくは正しい道を説いてください。戒律規定や、精神安定の法(三昧)をも説いてください。」

922 いわく、「眼で見ることを貪ってはならない。卑俗な話から耳を遠ざけよ。味に溺れてはならない。世間における何ものをも、我がものであるとみなして固執してはならない。

923 苦痛を感じる時があっても、修行者は決して悲嘆してはならない。生存を貪り求めてはならない。(獅子や虎などの)恐ろしいものに出会っても、震えてはならない。

924 食物や飲料や堅い食べものや衣服を得ても、貯蔵してはならない。またそれらが得られないからとて心配してはならない。

925 心を安定させよ。うろついてはならない。あとで後悔するようなことをやめよ。怠けてはならなぬ。そうして修行者は閑静な座所・臥所に住むべきである。

926 多く眠ってはならぬ。熱心に努め、目ざめているべきである。ものぐさと偽りと談笑と遊戯と婬欲の交わりと装飾とを捨てよ。

927 我が徒は、アタルヴァ・ヴェーダの呪法と夢占いと相の占いとを行ってはならない。鳥獣の声を占ったり、懐妊術や医術を行ったりしてはならない。

928 修行者は、非難されても、くよくよしてはならない。称讃されても、高ぶってはならない。貪欲と物惜しみと怒りと悪口を除き去れ。

929 修行者は、売買に従事してはならない。決して誹謗をしてはならない。また村の人々と親しく交わってはならない。利益を求めて人々に話しかけてはならない。

930 また修行者は高慢であってはならない。また自分の利益を得るために遠廻しに策した言葉を語ってはならない。傲慢であってはならない。不和をもたらす言葉を語ってはならない。

931 虚言を為すことなかれ、知りながらいつわりをしないようにせよ。また生活に関しても、知識に関しても、戒律や道徳に関しても、自分が他人よりもすぐれていると思ってはならない。

932 諸々の出家修行者やいろいろ言い立てる世俗人にはずかしめられ、その不快な言葉を多く聞いても、荒々しい言葉を以て答えてはならない。立派な人々は敵対的な返答をしないからである。

933 修行者はこの道理を知って、よく弁えて、常に気を付けて学べ。諸々の煩悩の消滅した状態が安らぎであると知って、ゴータマ(ブッタ)の教えにおいて怠ってはならない。

934 彼は、みずから勝ち、他に打ち勝たれることがない。他人から伝え聞いたのではなくて、みずから証する理法を見た。それ故に、かの師(ブッタ)の教えに従って、怠ることなく、常に礼拝して、従い学べ。」

このようにブッダ) は言われた。

⇒ 続きは 15、武器を執ること ⇒ 目次(はじめに戻る)

※このページは学問的な正確性を追求するものではありません。前知識のない一般の方でも「読んでみよう!」と思ってもらえるよう、より分かりやすく読み進めるために編集しています。漢字をひらがなに、旧字体を新字体に、送り仮名を現代表記に、( )にふりがなをつけるなど、原文に忠実ではない場合があります。

なお、底本としてパーリ語経典の『スッタニパータ』を使用していますが、学問的な正確性を追求する場合、参考文献である『「ブッダの言葉」中村元訳 岩波文庫』を読むようおすすめします。なお、章題/節題は比較しやすいよう同じにしました。

<< 戻る

-仏教を本気で学ぶ
-, , , , ,



Copyright © 1993 - 2024 寺院センター All Rights Reserved.