【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第三十六祖。弘道大師。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第三十六祖。弘道大師。参石頭問曰。三乗十二分教某甲粗知。嘗聞。南方直指人心見性成仏。実未明了。伏望和尚慈悲指示。頭曰。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼総不得。子作麼生。師罔措。頭曰。子因縁不在此。且往馬大師処去。師禀命恭礼馬祖。仍伸前問。祖曰。我有時教伊を揚眉瞬目。有時不教伊揚眉瞬目。有時揚眉瞬目者是。有時揚眉瞬目者不是。子作麼生。師於言下大悟便礼拝。祖曰。你見甚麼道理便礼拝。師曰。某甲在石頭処如蚊子上鉄牛。祖曰。汝既如是善自護持。雖然汝師石頭。

【機縁】

師諱惟儼。絳州韓氏子。年十七依潮陽西山恵照禅師出家。納戒于衡嶽希操律師。博通経論。厳持戒律。一日自歎曰。大丈夫当離法自浄。誰能屑屑事細行於布巾耶。首造石頭之室。便問。三乗十二分教某甲粗知乃至善自護持。侍奉三年。一日祖問曰。子近日見処作麼生。師曰皮膚脱落尽唯有一真実祖曰。子之所得可謂。協於心体布於四肢。既然。如是将三條篾束取肚皮。随処住山去。師曰。某甲又是何人。敢言住山。祖曰。不然未有常行而不住。未有常住不行。欲益無所益。欲為無所為。宜作舟航無久住此。師乃辞祖返石頭。一日在坐次。石頭問曰。汝在這裏作什麼。師曰。一切不為。頭曰。恁麼即閑坐也。師曰。若閑坐即為。頭曰。汝道不為不為箇甚麼。師曰。千聖亦不識。頭以偈讃曰。従来共住不知名。任運相将只麼行。自古上賢猶不識。造次凡流豈可明。後石頭垂語曰。言語動用沒交渉。師曰。非言語動用亦沒交渉。頭曰。我這裏針箚不入。師曰。我這裏如石上栽華。頭然之。後居澧州薬山。海衆雲会。

【拈提】

適来の因縁をもて。青原・南嶽両家各別なきこと分明にしりぬべし。実にこれ曹谿両角。元是露地白牛。逈逈なるものなり。彼に参し此にあきらめ。彼に通し此につぐ。絲毫もたがはず。故に最初に問。十二分教は粗知れり。直指人心見性成仏の旨いかんと。まさにこの田地をいふに。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼総不得。ここにいたりて自も安排のところなし。他もうたごふところにあらずゆへに如是指説す。然れどもこの田地。まさに不可得のところを執しきたる。ゆへに言下に未知趣。良佇思す。時に馬師をして代て説かしめんとして。さして江西にいたらしむ。江西はたしてこの心を会せしかば。すなはち代曰。かれをして揚眉瞬目せしめ揚眉瞬目せしめず。或は是或は不是なり。時にしたがひてまちまちなることをしめす時に。このところを覚悟し。実に揚眉瞬目より。見聞覚知動用去来にいたるまで。悉く有る事をしりぬ。すなはち礼拝す。祖曰。你見甚麼道理便礼拝。師曰。某甲在石頭処如蚊子上鉄牛。觜を挿むことなし。見知つき情解失す。自ら不知といへども。すでにこれ実人なり。祖後に問曰。子近日見処作麼生。ここに一点の塵なく。繊毫の疵なきことを識得して。すなはち曰。皮膚脱落尽唯有一真実。実に参学この田地にいたり得ること大にかたし。これによりて委悉にほめて曰く。子之所得可謂協於心体布於四肢。ところとしていたらざるところなく。ものとして通ぜざるところなし。卒に一切不為の道得にいたるまで。千変万化の受用区区なりといへども。石上に華を栽に似て。蹤跡なきことをしる。実に最初に直指人心を疑ひ求むるに。揚眉瞬目するものをしめさるるに大悟し。為衆説法せしに。我今為你説這箇語顯無語底。他那箇本来無耳目等貎。実に初中善その実処あるゆへに。後善実処を示して。他の為にす。然れば諸参学の人。薬山のごとく参ずべし。祖師いづれも其徳勝劣なしといへども。特に薬山はその機を接すること高く。己れを守ること簡約なるによりて。薬山不満二十衆と云ふ。衆多からざることはその簡約なるによりて如是。人の飢寒にたへざるによりて然なり。然れども雲巌・道吾・船子・高沙弥・耳行者・李翺公にいたるまで。有道の緇素多し。然れば学者としては。尤も委悉に参得せんを先として。尤も世縁の厚薄をかへりみず。これによりて雲巌・道吾・船子等。参人志を同ふし。四十年脇席につけず。有道の会にあらざれば恁麼の衲子なし。然れば諸禅徳かの雲巌・道吾と兄弟たらんことをねがひ。馬祖・石頭に参到せんことをおもふべし。不見揚眉瞬目せしむるもの是なり不是なりと。彼の田地疑ふにあらず。人人すでに具足し来る。那処をしらんとするに。すでに耳目のかたちなし。故に見聞に弁ずべきにあらず。一切すべて不為なり。然れども従来ともに住し来りて。卒に名をしらざるものなりといへども。任運としもてきたる。しかのみならず。汝をして生ぜしめ。汝をして死せしめ。汝をして去来動用せしめ。なんぢをして見聞覚知せしむ。これまさに這箇なり。分外に正法をもとむべからず。あに他時に見性を期するあらんや。たとひ三乗十二分教も。恁麼の道理をしめす。大凡そ一切衆生も。恁麼受用不断。あに証拠を他に求むべけんや。しるべし。汝まさに揚眉瞬目なからんや。只かの見聞覚知する者を見得せば天下老和尚の舌頭を疑がはじ。しばらくいかんがこの道理を注脚し去ん。

【頒古】

平常活溌溌那漢。喚作揚眉瞬目人。

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