【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第三十五祖。無際大師。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第三十五祖。無際大師。参青原。原問曰。汝甚麼処来。師曰。曹谿来。原乃挙払子曰。曹谿還有這箇麼。師曰。非但曹谿。西天亦無。原曰。子莫会到西天否。師曰。若到即有也。原曰。未在更道。師曰。和尚也須道取一半。莫全靠学人。原曰。不辞向汝道。恐已後無人承当。師曰。承当非無。無人道得。原以払子打。師即大悟。

【機縁】

師諱希遷。端州高安陳氏子。母初懷娠不喜葷茹。師雖在孩提不煩保母。既冠。然諾自許。郷洞獠民畏鬼神多淫祀殺牛釃酒。習以為常。師輒往毀叢祠。奪牛而帰。歳盈数十。郷老不能禁。十四歳而初参曹谿。得度未具戒。六祖将示滅。師問曰。和尚百年後。希遷未審当依附何人。祖曰。尋思去。及祖順世。師毎於静処端坐。寂若忘生。時第一座南嶽懷譲和尚問曰。汝師已逝。空坐奚為。師曰。我禀遺誡。故尋思爾譲曰。汝有師兄。行思和尚といふ。今住青原。汝因縁在彼。祖言甚直。汝自迷耳。因師即礼辞祖龕。直到青原。原問曰。有人道嶺南有消息。師曰。有人不道嶺南有消息。原曰。若恁麼大蔵小蔵従何而来。師曰。尽従這裏去。原然之。

【拈提】

然しより問答し来ること尋常なり。有時青原挙払子曰。曹谿還有這箇麼。師曰。非但曹谿。西天亦無と。古今挙払して其の端由を示し。或は機関を開き。或は人をして岐路を截断せしめ。或は人をして速に直指せしむ。青原又示す。すなはちこれ試験なり。然るを師未た這箇の事を会得せず。なを挙払のところに眼を著て。すなはち曰く。非但曹谿西天亦無と。恁麼挙払の処。更に如何なる曹溪西天か立すべき。恁麼の所見なをこれ境の話会をなす。故に青原おさへて曰く。子莫会到西天否。然れどもなをこの話を会せず。速にをのれを忘ずることなふして。また曰く。若し到即有也。たとひすでに道著すといふとも。若し有ることをしらずんば。卒にこれその人にあらず。故にまたしめして曰く。未在更道。実に大慈大悲にし来り。拕泥帯水し来て。恁麼委悉に示す。ここに自己安排のところなく。すなはち曰く。和尚也須道取一半。莫全靠学人。殊に如是相見し。如是言説せば。ともに一半を伝て。何ぞ全きを道取することあらん。たとひ乾坤すでに崩壊して。挙体ひとりあらはるるとも。これなを半路にいたるこのところなを他の手段を借るにあらず。自ら著到す。なにいはんや半路に重て一歩を進め。ひそかに密語を通ぜん時。敢て縁を借るにあらず。あに他人にしらしめんや。唯自ら却て本得することあらん。故に示曰。不辞向汝道。恐已後無人承当。たとひ痛きことを語り。辛きことを示すとも。若し他ほねに徹する分なく。舌を破る分なくんば。卒に通路なし。故に言に因て承当する分なからん。如是なるゆへに。知識は言妄りに不施。行徒に不行。恁麼に護持し来る。然るをなを物と。ともたらざるところなりと会して。密密に通処あることをしらず。細細に見取することなふして。すなはち曰く。承当非無無人道得。おそらくは希遷如是いふ。この田地にいたりて。人いかでか道得なからん。もしこの田地にいたらん。なににか承当せん。なを方外にもとめ来る。徒に内証を離却せり。ゆへにはやく恁麼の事あることをしらしめ。速に本来頭あることをしらしめん為に。払子を以て一打す。草を打て蛇を驚す故に。師すなはち大悟す。この因縁をもて。始終の学知。真箇の徹証。子細に験点し将来て見ることこまやかに。至ることしたしかるべし。すでにただ曹谿のみにあらず。西天にも亦無といふ。乾坤破裂して。全身独露する事を得るといへども。尚知己禍ひあり。これによりて恁麼に言大なることを得たり。然れども終に挙払のところに。全身独露することを知り。撃打のところに又有ことを知る。近来参禅の漢。徒に声色中に馳走し。見聞の中に求覓して。たとひ仏語祖語を諳誦し。いささか解路葛藤をなし。西天にもまたなく。曹谿にもまたなしといふとも。なを得る事なし。もし如是ならん。たとひ髮をそり衣を染て。自形を仏に似すとも。三界の獄縛卒に出ることなし。いかでか六道往来やむことをゑん。如是類。惜哉衲衣徒に木頭にかくることを。仏の言すでにこれ仏子にあらず。無所名。木頭と異なることなしといふこのこころなり梵網経遺教経取意一生空く信施をついやし果して。鉄丸を呑む憂ひをなさん時に後悔定て多からん。然れば委悉に参徹して。石頭最初にいたりし。独露全身のところにもいたりゑば。すでに曹谿西天もなきことをゑん。何処にか往来せん。恁麼の見地。卒に衲衣みだりにかけず。いはんや撃打のところに有ることを知りて。すみやかに己れをわすれ。亦己れをしる。死中に能活し。暗裏に正眼明かなり。すなはちこれ衲衣下密密の事なり。すでに恁麼に知見せし。故に師於唐天宝初。荐之衡山南寺。寺之東有石床如臺。乃結庵其土。時号石頭和尚。有時看肇論。至会万物為己者其唯聖人乎。師乃拊机曰。聖人無己。靡所不己。法身無象。誰云自他。円鑑霊照。其間万像体玄自現。境智非一。孰云去来。至哉斯語也。遂掩卷不覚寢。夢自身与六祖同乗一龜。游泳深池之内。覚而詳之。霊龜者智也。池性海也。吾与祖師同乗霊智遊性海矣。遂著参同契。天下昌に伝ふ。実に霊智すでに六祖とひとしく。青原と別なし。因如是。しかのみならず。有時上堂曰。吾之法門先仏伝受。不論禅定精進。達仏之知見。即身即仏。心仏衆生。菩提煩悩。名異体一。汝等当知。自己心霊。体離断常。性非垢浄。湛然円満。凡聖齊同。応用無方。離心意識。三界六道。唯心自現。水月鏡像。豈有生滅。汝能知之。無所不備。殊にこれ乾坤を崩壊せし独立の所見にあらすんば。恁麼なるべからず。撃打に承当し。分明に見得せしによりて。三十五祖に列す。汝等諸人の霊性あに他をへだつる事あらんや。心地なんぞ通ぜざることあらんや。ただ志を発すと発せざると。明師にあふとあはざるとによりて。昇沈形異に。苦楽の品不同。適来の因縁如何見得する。大衆要聞麼。

【頒古】

一提提起百千端。毫髮未会分外攀。

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