【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第二十九祖。大祖大師。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第二十九祖。大祖大師。参持二十八祖。一日告祖曰。我既息諸縁。祖曰。莫成断滅去否。師曰。不成断滅。祖曰。何以為験。師曰。了了常知。故言之不可及。祖曰。此是諸仏所証心体更勿疑也。

【機縁】

師者武牢之人也。姓姫氏。父寂。未有子時。常自思。我家嵩善豈無令子。祷久。一夕異光室をてらすことを感ず。其母因て孕む。長するにをよびて。照室の瑞をもて名けて光といふ。幼より志氣不群。久く伊洛に居して。ひろく群書をみる。不事とせ家産。好遊山水。常に歎じて曰く。孔老の教は礼術の風規なり。荘易の書は未尽妙理。龍門香山宝静禅師に依て出家受具し。講肆に浮游して。あまねく学大小乗義。一日仏書般若をみて。超然として自得す。然しより昼夜宴坐して。すでに八載をへしに。寂黙の中におひてひとりの神人をみる。告て曰く。将欲受果。何滯此耶。大道匪遙。汝其南矣。光知神助因改名神光。翌日頭痛如刺。其師これを治せんとするに。空中に声ありて曰く。これすなはち換骨なり。常の痛にあらず。光卒に以見神事師にまふす。師その頂骨をみるに。五峯の秀出せるがごとし。即曰。汝が相吉祥なり。まさに所証あるべし。神令汝南者。斯則少林の達磨大士也。必ず汝が師ならん。光受教。嵩山少林寺にいたる。大通二年窮臘九日なり。大師入室をゆるさず。師窓前に立つ。其夜大に雪ふる。雪中に立て明るを待つ。積雪腰を埋み。寒氣骨に徹る。落涙滴滴凍る。涙を見るにいよいよ寒きことをます。密に惟き。昔人求道敲骨取髄。刺血濟饑。布髮掩泥。投崖飼虎。古尚若此。我又何人。かくのごとくおもひて。こころざしをはげましてたゆむ事なく。堅立不動。遲明大師よもすがら雪の中に立をみて。あはれみて問て曰く。汝久立雪中。当求何事。師曰。惟願和尚慈悲。開甘露門。広度群品。大師曰。諸仏無上妙道。曠劫精勤難行。能行。非忍而忍。豈以小徳小智軽心慢心。欲冀真乗徒労勤苦といひて。又顧眄せず。時に師慈誨をききて。涕涙ますますながし。求道の志いよいよ切なり。ひそかに利刀をとりて。自ら左臂を断ず。大師これ法器なりとして。示曰。諸仏最初求道。為法忘形。汝今断臂吾前。求亦可在。師遂因与易名曰恵可。終に入室をゆるす。爾しより左右に給士して八年をおくる。有時師問大師曰。諸仏法印可得聞乎。大師曰。諸仏法印匪従人得。有時示曰。外息諸縁。内心無喘。心如牆壁可以入道。師尋常説心説性不契道理。大師秪遮其非不為説無念心体。室中玄機曰。有時侍達磨大師登少室峯。達磨問。道向何方去。師曰請直進前是。達磨曰。若直進不得移一歩。師聞契悟。有時告大師曰。我既息諸縁乃至更勿疑也。卒衣法共附して曰。内伝法印以契証心。外附袈裟以定宗旨。因て大師円寂してより。師継闡玄風。法を僧璨に附して曰く。われまた宿累あり。いま必ずこれを酬んと。付嘱し已りて。即於鄴都随宜説法。四衆帰依。如是積三十載韜光混跡変易儀相。或入諸酒肆。或過屠門。或習街談。或随厠役。或人問曰。師是道人何故如是。師曰。我自調心。何関汝事。後於筦城縣匡救寺参門下。開演法要四衆。如林会時有弁和法師者。於寺中講涅槃経。聞師演法。徒衆漸引去。弁和不能其憤。興謗于邑宰翟仲侃。仲侃惑其邪説。加師以非法。師怡然委順。即隋開皇十三年癸丑歳三月十六日也。

【拈提】

抑師は諸祖の尊徳。いづれも勝劣なしといへども。重きが中に重く。貴きが中に貴し。所以者何となれば。達磨たとひ西来すとも。師もし伝通せずんば。宗風いまにをよびがたし。艱難誰れよりも勝れ。志求何れよりも超たり。初祖も真機を待ちて久くとかず。殊に二祖の為に指説せず。ただいはく。外息諸縁内心無喘。心如に牆壁もて道にいるべしといふ。実にかくのごとく慮をやむれば。すなはち心体をあらはすなり。かくのことくいふをききて。牆壁のことく無心ならんとす。これ親く心を見得せず。すなはち曰く。了了常知と。よくかくのことくなれば。諸仏の所証といふ。然れは外諸縁をやむれば。内万慮なし。惺惺として不昧。了了として本明なり。古今をわかたず。自他をへだてず。諸仏の所証。諸祖伝心毫末もたがはず。和同し来るか故に。西天と東土と伝通し。漢朝と和国と融接す。古も如是。今も如是。たた古をしたふことなかれ。今をすごさず修すべし。聖を去ること時遠しと思ふことなかれ。おのれをすてずあきらむべし。例によりて下語せんとするに卑語あり。要聞麼。

【頒古】

空朗朗地縁思尽。了了惺惺常廓明。

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