【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第十二祖。馬鳴尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第十二祖。馬鳴尊者。問夜奢尊者曰。我欲識仏。何物即是。尊者曰。汝欲識仏。不識者是。師曰。仏既不識。焉知是乎。尊者曰。既不識仏。焉知不是。師曰。此是鋸義。尊者曰。彼是木義。復問。鋸義者何。師曰。与師平出。又問。木義者何。尊者曰。汝被我解。師豁然省悟。

【機縁】

師者波羅奈国之人也。亦名功勝。以有作無作諸功徳最為殊勝故名焉。即三夜奢尊者処。最初問曰。我欲識仏。何者即是。尊者曰。汝欲識仏。不識者是。

【拈提】

実参学最初。必尋ぬべきは是仏なり。三世諸仏・数代祖師。尽是学仏漢といふ。若仏を学せざれば。悉くこれ外道と名く。故に音声をもて求むべきにあらず。色相を以て求めしるべきにあらず。故に三十二相・八十種好をもて仏とするにたらず。因て我欲識仏何者即是なると問来る。即示曰。汝欲識仏不識者是なりと。いはゆる不識者といふは。まさにこれ馬鳴尊者也。豈他。未知時もしれるときも別の保任なし。他の樣子なし。故に昔しより今に及びて。只如是有時は三十二相を帯し。八十種好を具し。三頭八臂を帯し。五衰八苦に沈み。有時は被毛戴角し。有時は鉄擔架鎖す。常に三界中に居して。自己の行履を保任し。自心の中に頭出頭沒して。異面を帯し来る。故に生じきたるも是何者なりとしらず。死し去るも是何者なりとしらず。形をつけんとすれども。是造作すべき法にあらず。名を安ぜんとすれども。亦これ建立すべきことにあらず。故に劫より劫に至るまで。会てしるところなく。我にしたがひ我に共なふとも。都て弁ずることなし。適来の因縁を聴て。多く解して曰く。いかにもしることあるは。即是仏にたがはん。しることなく分つことなからん。正に是仏なるべしと云。今の不識恁麼に会せば。何ぞ煩はしく夜奢尊者恁麼に示さん。従冥入於冥に。只是のごとく都て恁麼ならざる故に。直に示して曰。不識者是也と。馬鳴なほ明らめず。只是従来の不知といふをもて今の示す処を解す故に。曰。仏既不識焉知是乎。尊者重て示して曰。既不識仏焉知不是仏。その外に求むべきにあらず。不知者即ち是仏なり。豈不是と云べけんや。師曰。此是鋸義。尊者曰。彼是木義。夜奢復問。鋸義者何。師曰。与師平出。馬鳴又問。木義者何。尊者曰。汝被我解。師豁然省悟。実に汝も如是我も如是。八字に打開し両手に分付す。汝も我も一点を受ず。吾も汝も少分をからず。これによりて平出せること恰も鋸の如し。故にいふ鋸義と。師解曰。吾是木義と。尊者曰。彼是木義。所以者何なれば。黒漫漫として総て知る処なし。更に一点をも著ず。一知をも假らず。恰も木頭の如く又露柱の如し。無心にして恁麼也。終に弁別する処なし。恁麼に会する。故に道ふ彼は是木の義と。然れ共恁麼の処解。余習なほ殘て師義を不知。此に尊者慈悲落草の故に。復問。鋸の義とは何ぞや。師曰。与師平出すと。此に至りて重て自ら道取して。又問。木義とは何ぞや。夜奢復授手分付して曰。汝我に解せらると。爰に師資の道通じ。古今情やぶれて。夢中に路をなし来り。空裏を運歩しもてく。故に曰く。汝被我解。ここに到りて無心凝結すみやかにとけ。明白の窠窟もぬけ来て。豁然として開悟。遂に第十二祖に列す。尊者謂衆曰。此大士者。昔為毘舍離国王。其国有一類人。如馬裸露。王運神力。分身為蠶。彼乃得衣。彼王後生中印度。馬人感戀悲鳴。因号馬鳴焉。如来記云。吾滅度後六百年。当有賢者馬鳴者。於波羅奈国摧伏異道。広度人天。度人無量。継吾伝化。今正に是時なりと云ひて。夜奢即付嘱如来正法眼蔵。此の一段始終のところ。みだりに不識不受のところとして。処処不識なるところとすることなかれ。即ち不識なりとも。未胞胎のところにして。子細に見得し。子細に思量して。仏面祖面を摸索すれどもえず。人面鬼畜を求覓すれどもえず。是不変なるにもあらず。是動著するにもあらず。会て空なるにもあらず。内外の論なく。正偏のへだてなし。まさに是れ自己本来の面目なることを覚知して。たとひ凡聖含霊とあらはれ来り。依正二報とわかれ来れども。全くこの中に去来し。此中に起滅す。あだかも海水のなみををこすが如く。おこりおこれども会て一水もまさず。又波の滅するが如し。滅し滅すれども一滴もうしなはず。会て人間天上の中に。しばらく諸仏と呼れ来り。兎畜と呼れ来る。恰も一面上にかりに衆面を現ずるが如し。是仏面とせんも不是。鬼面とせんも不是。然も建化門頭の事。敲唱し来り。まさに如幻三昧を修習し。夢中の仏事をなし来る。これによりて西天の化導幻術今に不断。三国流転して。転凡入聖し来るなり。よく恁麼に転変修習して。まさに自己の罪過をもうとくせず。自己の生死にもまどはされず。これ真箇本色の衲僧なるべし。今日適来の因縁を挙揚するに。例によりて卑語あり。要聞麼。

【頒古】

野村紅不桃華識。更教霊雲到不疑。

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