示して云く、学道の人、身心を放下して一向に仏法に入るべし。
古人云く、「百尺竿頭上なお一歩を進む。」と。何にも百尺の竿頭に上って足を放たば死ぬべしと思うて、強くとりつく心の有るなり。それを思い切りて一歩を進むと云うは、よもあしからじと思いきりて、放下するように、度世の業より始めて、一身の活計に至るまで、何にも捨て得ぬなり。それを捨てざらんほどは、何に頭燃をはらいて学道するようなりとも、道を得る事叶わざるなり。思いきり、身心ともに放下すべし。
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『正法眼蔵随聞記』
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