増長天とは、須弥山(しゅみせん)の中腹に住み、帝釈天(たいしゃくてん)に仕え、鳩槃荼(くばんだ)、薜茘多(へいれいた)といった眷属(けんぞく)を従えて南方を守護する四天王として知られています。
梵語名はヴィルーダカといい、毘楼勒叉(びるろくしゃ)と音写されます。「増大した者」「発芽し始めた穀物」との意味を持つことから「増長天」と呼ばれます。
宝髻(ほうけい)を結い、天冠台(てんかんだい)を被っています。手には戟(げき)や槍(やり)、戟(ほこ)、剣を持っています。革製の甲冑を身に着けた唐(中国)代の武将風の姿で表され、忿怒(ふんぬ)の表情で邪鬼を踏みつけるなど、その姿は様々な表現がされています。そして、増長天の前には鬼形の従者がいて両手で剣を持ちひざまずいている場合もあります。
(増長天・東寺)
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