【仏教用語/人物集 索引】

『正法眼蔵随聞記』62、宋土の海門禅師

投稿日:1235年6月11日 更新日:

一日示して云く、宋土の海門禅師、天童の長老たりし時、会下に元首座と云う僧ありき。この人、得法悟道の人なり。長老にもこえたり。

有る時、夜、方丈に参じて焼香礼拝して云く、「請うらくは師、後堂首座を許せ。」

門、流涕して云く、「我れ小僧たりしより未だ是の如くの事を聞かず、汝禅僧として首座長老を所望する事を。汝已に悟道せる事は、先規を見るに我れにも超えたり。然るに首座を望む事、昇進の為か。許す事は前堂をも乃至長老をも許すべし。余の未悟僧は之れを察するに、余りあり。仏法の衰微、是れを以て知りぬべし。」と云って流涕悲泣す。ここに僧恥じて辞すと雖も、なお首座に補す。その後首座、この事を記録して自ら恥じしめ師の美言を彰わす。

今之れを案ずるに、昇進を望み、物の首となり、長老にならん事をば、古人是れを恥じしむ。ただ道を悟らんとのみ思うて余事あるべからず。

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『正法眼蔵随聞記』

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