名称と形態とは、現象界の事物はそれぞれ名称(nama)と形態(rupa)を持っているという意味で、namarupa(ナーマルーパ)は古ウパニシャッドに出てくる語句です。
この観念が仏教にとり入れられましたが、rupaという語は「色」という意味もあるので、漢訳仏典ではnamarupaを「名色」(みょうしき)と訳します。それはあらゆる事象について言えるので、仏教では全現象の総括としての個人存在と同一視され、その構成要素としての五蘊とも同一視され、「色」は色蘊で物質面を意味し、「名」は受・想・行・識の四つの蘊で精神面を意味すると解釈されました。
・「バラモンよ。名称と形態とに対する貪りを全く離れた人には、諸々の煩悩は存在しない。だから、彼は死に支配されるおそれがない。」(ダンマパダ 1100偈)
・「名称と形態について「我がもの」という想いが全く存在しないで、何ものも無いからとて憂えることの無い人、彼こそ修行僧と呼ばれる。」(ダンマパダ 367偈)
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