【仏教用語/人物集 索引】

「正法眼蔵」摩訶般若波羅蜜(まかはんにゃはらみつ)

投稿日:1233年7月1日 更新日:

観自在菩薩の行深般若波羅蜜多時は、渾身の照見五蘊皆空なり。五蘊は色受想行識なり、五枚の般若なり。照見これ般若なり。

この宗旨の開演現成するにいはく、色即是空なり、空即是色なり、色即是色なり、空空なり。百草なり。万象なり。

般若波羅蜜十二枚、これ十二入なり。

また十八枚の般若あり、眼耳鼻舌身意、色声香味触法、および眼耳鼻舌身意識等なり。

また四枚の般若あり、苦集滅道なり。

また六枚の般若あり、布施、浄戒、安忍、精進、静慮、般若なり。

また一枚の般若波羅蜜、而今現成せり、阿耨多羅三藐三菩提なり。

また般若波羅蜜三枚あり、過去現在未来なり。

また般若六枚あり、地水火風空識なり。

また四枚の般若、よの常におこなはる、行住坐臥なり。

釈迦牟尼如来会中有一苾蒭、竊作是念、我応敬礼甚深般若波羅蜜多。此中雖無諸法生滅、而有戒蘊、定蘊、慧蘊、解脱蘊、解脱知見蘊施設可得、亦有預流果、一来果、不還果、阿羅漢果施設可得、亦有独覚菩提施設可得、亦有無上正等菩提施設可得、亦有仏法僧宝施設可得、亦有転妙法輪、度有情類施設可得。

(釈迦牟尼如来の会中に一の苾蒭あり、竊かに是の念を作さく、我れ甚深般若波羅蜜多を敬礼すべし。此の中に諸法の生滅無しと雖も、而も戒蘊、定蘊、慧蘊、解脱蘊、解脱知見蘊の施設可得有り、また預流果、一来果、不還果、阿羅漢果の施設可得有り、また独覚菩提の施設可得有り、また無上正等菩提の施設可得有り、また仏法僧宝の施設可得有り、また転妙法輪、度有情類の施設可得有り。)

仏知其念、告苾蒭言、如是如是。甚深般若波羅蜜、微妙難測。

(仏、其の念を知して、苾蒭に告げて言く、是の如し、是の如し。甚深般若波羅蜜は、微妙なり、難測なり。)

而今の一苾蒭の竊作念は、諸法を敬礼するところに、雖無生滅の般若、これ敬礼なり。この正当敬礼時、ちなみに施設可得の般若現成せり。いわゆる戒定慧乃至度有情類等なり、これを無といふ。無の施設、かくのごとく可得なり。これ甚深微妙難測の般若波羅蜜なり。

天帝釈問具寿善現言、大徳、若菩薩摩訶薩、欲学甚深般若波羅蜜多、当如何学。

(天帝釈、具寿善現に問うて言く、大徳、若し菩薩摩訶薩、甚深般若波羅蜜多を学せんと欲はば、まさに如何が学すべき。)

善現答言、憍尸迦、若菩薩摩訶薩、欲学甚深般若波羅蜜多、当如虚空学。

(憍尸迦、もし菩薩摩訶薩、甚深般若波羅蜜多を学せんと欲はば、まさに虚空の如く学すべし。)

しかあれば、学般若これ虚空なり、虚空は学般若なり。

天帝釈、復白仏言、世尊、若善男子善女人等、於此所説甚深般若波羅蜜多、受持読誦、如理思惟、為他演説、我当云何而守護。唯願世尊、垂哀示教。

(天帝釈、また仏に白して言さく、世尊、若し善男子善女人等、此の所説の甚深般若波羅蜜多に於て、受持読誦し、如理思惟し、他の為に演説せんに、我れまさに云何が守護すべき。ただ願はくは世尊、哀を垂れ示し教へましませ。)

爾時具寿善現、謂天帝釈言、憍尸迦、汝見有法可守護不。

(爾の時に具寿善現、天帝釈に謂つて言く、憍尸迦、汝、法の守護すべき有ると見るや不や。)

天帝釈言、不也、大徳、我不見有法是可守護。(不や、大徳、我れ法の是れ守護すべき有ることを見ず。)

善現言、憍尸迦、若善男子善女人等、作如是説、甚深般若波羅蜜多、為守護。若善男子善女人等、作如所説、甚深般若波羅蜜多、常不遠離。当知、一切人非人等、伺求其便、欲為損害、終不能得。

(憍尸迦、若し善男子善女人等、是の如くの説をなさば、甚深般若波羅蜜多、守護すべし。若し善男子善女人等、所説の如くなさば、甚深般若波羅蜜多、常に遠離せず。まさに知るべし、一切人非人等、其の便を伺求して、損害を為さんと欲んに、終に得ること能はじ。)

憍尸迦、若欲守護、作如所説。甚深般若波羅蜜多、諸菩薩者無異、為欲守護虚空。

(憍尸迦、若し守護せんと欲はば、所説の如くなすべし。甚深般若波羅蜜多と、諸菩薩とは異なること無し、欲守護虚空と為す。)

しるべし、受持読誦、如理思惟、すなはち守護般若なり。欲守護は受持読誦等なり。

先師古仏云、
渾身似口掛虚空、
不問東西南北風、
一等為他談般若。
滴丁東了滴丁東。

先師古仏云く、渾身口に似て虚空に掛り、東西南北の風を問はず、一等他と般若を談ず。滴丁東了滴丁東。)

これ仏祖嫡々の談般若なり。渾身般若なり、渾他般若なり、渾自般若なり、渾東西南北般若なり。

釈迦牟尼仏言、舎利子、是諸有情、於此般若波羅蜜多、応如仏住供養礼敬。思惟般若波羅蜜多、応如供養礼敬仏薄伽梵。所説以者何。般若波羅蜜多、不異仏薄伽梵、仏薄伽梵、不異般若波羅蜜多。般若波羅蜜多、即是仏薄伽梵。仏薄伽梵、是般若波羅蜜多。何以故。舎利子、一切如来応正等覚、皆由般若波羅蜜多得出現故。舎利子、一切菩薩摩訶薩、独覚、阿羅漢、不還、一来、預流等、皆由般若波羅蜜多得出現故。舎利子、一切世間十善業道、四静慮、四無色定、五神通、皆由般若波羅蜜多得出現故。

釈迦牟尼仏の言く、舎利子、是の諸の有情、此の般若波羅蜜多に於て、仏の住したまふが如く供養し礼敬すべし。般若波羅蜜多を思惟すること、応に仏薄伽梵を供養し礼敬するが如くすべし。所説以は何。般若波羅蜜多は、仏薄伽梵に異ならず、仏薄伽梵は般若波羅蜜多に異ならず。般若波羅蜜多はち是れ仏薄伽梵なり。仏薄伽梵は即ち是れ般若波羅蜜多なり。何を以ての故に。舎利子、一切の如来応正等覚は、皆般若波羅蜜多より出現することを得るが故に。舎利子、一切の菩薩摩訶薩、独覚、阿羅漢、不還、一来、預流等は、皆般若波羅蜜多によりて出現することを得るが故に。舎利子、一切世間の十善業道、四静慮、四無色定、五神通は、皆般若波羅蜜多によりて出現することを得るが故に。)

しかあればすなはち、仏薄伽梵は般若波羅蜜多なり、般若波羅蜜多は是諸法なり。この諸法は空相なり、不生不滅なり、不垢不浄、不増不減なり。

この般若波羅蜜多の現成せるは仏薄伽梵の現成せるなり。問取すべし、参取すべし。供養礼敬する、これ仏薄伽梵に奉覲承事するなり。奉覲承事の仏薄伽梵なり。

正法眼蔵摩訶般若波羅蜜第二

爾時天福元年夏安居日在観音導利院示衆
寛元二年甲辰春三月廿一日侍越宇吉峰精舎侍司書写之 懐奘

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