【仏教用語/人物集 索引】

『教行信証』行巻12

投稿日:1224年1月1日 更新日:

 願に言わく(第十八願)、「設い我、仏を得たらんに、十方の衆生、心を至し信楽して我が国に生まれんと欲うて乃至十念せん。若し生まれずは、正覚を取らじと。唯、五逆と誹謗正法とをば除く」(大経)と。仏願力に縁るが故に、十念念仏して便ち往生を得。往生を得るが故に即ち三界輪転の事を勉る。輪転無き故に、所以に速やかなることを得る一の証なり。

 願に言わく(第十一願)、「設い我、仏を得たらんに、国の中の人天、定聚に住し、必ず滅度に至らずは、正覚を取らじ」(大経)と。仏願力に縁るが故に、正定聚に住せん。正定聚に住せるが故に、必ず滅度に至らん。諸の回伏の難無し。所以に速やかなることを得る二の証なり。

 願に言わく(第二十二願)、「設い我、仏を得たらんに、他方仏土の諸の菩薩衆、我が国に来生して、究竟して必ず一生補処に至らしめん。其の本願の自在の所化、衆生の為の故に弘誓の鎧を被て、徳本を積累し一切を度脱して、諸仏の国に遊び菩薩の行を修して、十方諸仏如来を供養し恒砂無量の衆生を開化して、無上正真の道を立せしめんをば除く。常倫に超出し、諸地の行現前し、普賢の徳を修習せん。若し爾らずは、正覚を取らじ」(大経)と。仏願力に縁るが故に、常倫に超出し、諸地の行現前し、普賢の徳を修習せん。常倫に超出し諸地の行現前するを以ての故に、所以に速やかなることを得る三の証なり。斯れを以て他力を推するに、増上縁とす。然らざることを得んや。

 当に復た例を引きて自力・他力の相を示すべし。人、三塗を畏るるが故に禁戒を受持す。禁戒を受持するが故に能く禅定を修す。禅定を修するを以ての故に神通を修習す。神通を以ての故に能く四天下に遊ぶが如し。是くの如き等を名づけて「自力」とす。又、劣夫の、驢に跨りて上らざれども、転輪王の行くに従えば、便ち虚空に乗じて四天下に遊ぶに障碍する所無きが如し。是くの如き等を名づけて「他力」とす。愚なるかな、後の学者。他力の乗ずべきを聞きて、当に信心を生ずべし。自ら局分〔「局」の字 古玉の反。せばし。ちかし。かぎる。〕すること勿れ」と。已上

 元照律師の云わく(元照観経義疏)、「或いは此の方にして惑を破し真を証すれば、則ち自力を運ぶが故に大小の諸経に談ず。或いは他方に往きて法を聞き道を悟るは、須く他力を憑むべきが故に往生浄土を説く。彼・此、異なりと雖も、方便に非ざること莫し。自心を悟らしめんとなり」と。已上

 「一乗海」と言うは、「一乗」は大乗なり。大乗は仏乗なり。一乗を得るは阿耨多羅三藐三菩提を得るなり。阿耨菩提は即ち是れ涅槃界なり。涅槃界は即ち是れ究竟法身なり。究竟法身を得るは則ち一乗を究竟するなり。異なること如来無さず、異なること法身無さず。如来は即ち法身なり。一乗を究竟するは即ち是れ無辺不断なり。大乗は二乗・三乗有ること無し。二乗・三乗は一乗に入らしめんとなり。一乗は即ち第一義乗なり。唯是れ誓願一仏乗なり。

(「行巻」続く)

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