観世音菩薩は、観音菩薩、観自在菩薩、観世自在菩薩などとも呼ばれます。サンスクリット(梵語)では、アヴァローキテーシュヴァラ・ボーディサットヴァといい、世間の出来事を自在に観察して、その苦悩から救済する菩薩です。観世音菩薩像は、如来像のように出家者の姿ではなく、ブッダが出家をする前のインド貴族(王族)の姿が見本となっています。たくさんの装飾品をつけているのも特徴です。
人々の苦悩に応じて大慈悲を行ずるところから千変万化の相となるといい、その姿は六観音・三十三観音などに表されています。また、勢至菩薩と共に阿弥陀仏の脇侍でまつられることもあり、また、独尊としても信仰されています。
姿の特徴としては、宝冠の前面に阿弥陀如来の化仏(けぶつ)を表す場合が多く、それで見分ける人が多いです。左肩から右側の腰にかけて条帛(じょうはく)という薄い帯状の布が掛けられ、また両肩から天衣(てんね)という細長い布が垂らされています。下半身には裳(も)というロングスカートのような着衣をつけています。瓔珞(ようらく)、臂釧(ひせん)、腕釧(わんせん)などの装飾品を身につけていますが、例の画像のように、時代と共に無くなってしまっていることもあります。
そのほかに、多面多臂(ためんたひ)と言って、多くの顔や腕をもつ姿で表現される像が多くあります。十一面観音菩薩や千手観音菩薩などがその例です。また、一面二臂の観世音菩薩像のうち、聖観音と呼ばれるものもあります。それらを総称して観世音菩薩といわれています。
(観音菩薩立像)
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