【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第十六祖。羅睺羅多尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第十六祖。羅睺羅多尊者。執侍迦那提婆。聞宿因感悟。

【機縁】

師者迦毘羅国之人也。所謂宿因といふは。迦那提婆尊者受度行化到迦毘羅国。彼有長者。曰梵摩浄徳。一日園樹生大耳。如菌味甚美。唯長者与第二子羅睺羅多。取而食之。取已随長。尽而復生。自余親属皆不能見。時迦那提婆尊者。知其宿因。遂至其家。長者問其故。尊者曰。汝家昔会供養一比丘。彼比丘然道眼未明。以虚霑信施故報為木菌。惟汝与子精誠供養得以亨之。余即否矣。又問。長者年多少。答曰。七十有九。尊者乃説偈曰。入道不通理。復身還信施。汝年八十一。此樹不生耳。長者聞偈。弥加歎伏。且曰。弟子衰老。不能事師。願捨次子。随師出家。尊者曰。昔如来記此子。当第二五百年為大教主。今之相遇。蓋符宿因。即剃髮列第十六祖。

【拈提】

古今学道人無慚無愧にして。徒に清流にまじはり。無知無分にして。空しく信施を受るを諫るに。多く此因縁を引来る。実にこれによりてはづべし。比丘として家を捨て道にいりぬ。居処も是吾地にあらず。食法全く是我物にあらず。衣服も全く我わざにあらず。一滴水・一莖草。すべて是受用すべきものにあらず。ゆへいかんとなれば。汝諸人悉皆国土にはらまる。一天下・国土上。悉く是国王の水土にあらすといふことなし。然るに家にあれは親につかへ。国に侍べれば君につかふまつる。如是なる時。天地加護ありて。自ら陰陽のめくみをうく。然もなまじひに仏法をねがはんと号して。可仕親にも仕へず。つかふまつべき君にもつかふまつらず。なにをもてか父母生成の恩を報じ。なにをもてか国王水土の恩を報ぜんや。道に入りて道眼なからん。恰かも国賊といひつべし。既に棄恩入無為。三界を出といふ。然も出家してより後。父母をも礼せず。国王をも礼せず。已に形を仏子にかり。身を清流にやどす。たとひ妻子の施す所を受と云とも。全く是世俗にありてうけんには同ふせず。悉く是信施にあらずといふことなし。然も古人曰。道眼未明。一粒をも咬破しがたし。もし道眼清明なる時。たとひ虚空を鉢にして。須弥を飯として。日日夜夜受来るとも。是信施にまくることあらず。然るに道眼の具足と不具足と顧りみず。猥りに僧となりては人の供養を受来らんとおもひ。供養すくなければ徒に人倫にのぞむ。をもふべし。汝等家をすて郷をはなれし時。一粒の蓄へなく。一絲をもかけず。孤露にして遊行す。只道眼の為に身をまかせ。法の為に命をすつべし。あに最初発心。徒に名利の為衣食の為にせんや。然れば人人問ふに及ばず。但自己最初の発心を顧みて。自ら是処をかへりみ。又不是処をかへりみよ。故にいふ。終りをつつしむこと始の如くすることかたしと。実に初心の如くせんに。誰か道人にならざらん。是によりてみな僧となり。比丘尼となるといへども。徒に国賊となるのみなり。何以むかしの比丘は道眼未明といへども。修行退転なきによりて。是を報ずる故に木菌ともなれり。今の比丘の如きんば。一生已にをはらん時。閻老汝を許すことあたはず。今の粥飯は或は鉄湯となり。あるひは鉄丸となりて。是を呑ん時身心紅爛しもて行くことあらん。然も雲峯悦禅師曰。不見祖師道入道不通理。復身還信施。此是決定底事。終不虚也。諸上座光陰可惜時不待人。莫待一朝眼光落地。緇田無一箕功。鉄圍陷百刑之痛。莫言不道。諸人者幸に辱く如来の正法輪にあへり。市中に虎にあはんよりも稀なり。優曇華一現するよりもまれなるへし。子細に用心し。子細に参学して。須く道眼清明なるべし。不見今日の因縁を。有情といひ無情といひ。依報とわかち正報とわかつことなかれ。まさに前生の比丘。今日木菌となれり。木菌の時も我これ比丘となれりとしらず。比丘の時も我是万法とあらはれたりとしらず。然れば今有情にして少く覚知あり。いささか痛痒を弁ずといへども。木菌と殊なることなし。ゆへいかんとなれば。木菌の汝をしらざること。あに是無明にあらざらんや。汝が木菌をしらざることも。全くもてをなじ。是によりて有情無情のへだてあり。依報正報のしなあり。若し自己を明たん時。何をか有情といひ。なにをか無情といはん。古来今にあらず。根境識にあらず。能断なく所断なく。自作なく他作なく。大子細に参徹して。身心脱落して見べし。徒に僧形となるに誇り。乱りに塵家を出しに止まること勿れ。設ひ水難をのがるといへども。火難にわづらひぬべし。たとひ塵労をやぶり去るとも。仏にありても又免れがたし。何に況や如是ならざらん。人の物にしたがひ他に迷ふ。軽毛のごとく浮塵に同くして。東西に馳走し。朝野に昇降して。足実地をふまず。心実処に到らざらん類。只一生を賺過するのみに非ず。亦累世を虚く過しもてゆかん。しらずや昔しより今に及ぶまで。会て相あやまらず。会てへだてなきことを。汝未知有故に。徒に浮塵となる。今日若し尽却せずんば。何れの時をかまたん。適来因縁をのべんとするに。卑語。要聞麼。

【頒古】

惜哉道眼不清白 惑自酬他報未休。

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