【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第十五祖。迦那提婆尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第十五祖。迦那提婆尊者。謁龍樹大士。将及門。龍樹知是智人。先遣侍者。以満鉢水。置於座前。尊者覩之。即以一針投。而進之相見。忻然契会。

【機縁】

師者南天竺国之人也。姓毘舍羅。初求福業。兼楽弁論。龍樹尊者。得法行化到南印度。彼国之人多信福業。聞尊者為説妙法。遞相謂曰。人有福業世間第一。徒言仏性。誰能覩之。龍樹曰。汝欲見仏性。先須除我慢。彼人曰。仏性大小。龍樹曰。仏性非大非小。非広非狹。無福無報。不死不生。彼聞理勝悉迴初心。其中大智恵迦那提婆。謁龍樹大士乃至忻然契会。即分半座居。恰如霊山迦葉。龍樹即為説法。不起於座現月輪相。師謂衆会曰。此是尊者現仏性相。以示我等。何以知之。蓋以無相三昧形如満月。仏性之義廓然虚明。言訖輪相即隠。復居本座而説偈言。身現円月相。以表諸仏体。説法無其形。用弁非声色。如是なる故に。師資わかちがたく。命脈即通。

【拈提】

適来因縁これ尋常にあらず。最初に道に合し来る。龍樹も一言の説なく。提婆も一言の問なし。故に師資存じがたく。賓主いかんがたん。是に依て殊に迦那提婆宗風を挙説して。遂に五天竺の間提婆宗といはれし也。いはゆる銀盆盛雪明月蔵鷺如し。如是の故に。最初相見の時すなはち満鉢の水をもて座前におかしむ。あに表裏を存し。内外を存せんや。已に是満鉢終に虧闕なし。亦これ湛水虚明也。通徹して純清也。弥満して霊明なり。故に一針を投じて契会す。須徹底徹頂。正なく偏なし。ここにいたりて師資わかちがたし。類すれども齊きことなく。混ずれとも跡なし。揚眉瞬目をもて此の事を現ぜしめ。見色聞声をもて此のことを表す。故に声色の名づくべきなし。見聞の捨つべきなし。円明無相にして清水の虚廓なるが如し。霊理に通徹し。神鋒を求むる時に似たり。処処鋒を露し来り。明明として心を通じ。もて去る。水も流れ通じて。山を穿ち。天をひたし去り。針もふくろをとをし。芥子をさしもて来る。然も水遂にものの為にやぶれず。あに跡をなすことあらんや。針も他の為にかたきこと金剛にも過たり。恁麼の針水あに是他物にあらんや。即是汝等が身心なり。呑尽の時はただこれ一針なり。吐却の時は又是清水なり。故に師資道通達して。全く是自他なし。故に命脈即通して。まさに廓明なる時。十方におさむべきにあらず。恰も葫蘆藤種葫蘆をまつふが如し。攀来攀去。ただ是自心なるのみなり。然も諸人清水を知得たりとも。子細に覚触して底に針あることを明むべし。もしあやまりて服することあらば。果して咽喉をやぶりきたらん。雖然如是。両般の会をなすことなかれ。只すべからく呑尽吐尽して。子細に思量してみよ。たとひ清白にして虚融なりと覚すとも。まさにこれ廓徹堅固なることあらん。水火風の三災もをかすことなく。成住壊空劫もうつすことなけん。故に這箇の因縁を説破せんとするに。更に卑語あり。大衆要聞麼。

【頒古】

一針釣尽滄溟水 獰龍到処叵蔵身。

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