【仏教用語/人物集 索引】

『伝光録』第十祖。脇尊者。

投稿日:2004年1月12日 更新日:

【本則】

第十祖。脇尊者。執侍伏駄密多尊者左右三年。未嘗睡眠。一日尊者誦修多羅及演無生。師聞悟道。

【機縁】

師者中印度人也。本名難生。初師将誕。父夢。一白象背有宝座。座上安一明珠。其光照四衆。既覚遂生。伏駄密多尊者。至中印度行化。時有長者香蓋。携一子而来。瞻礼尊者曰。此子処胎六十歳。因号難生。復嘗会一仙者。謂此兒非凡。当為法器。今遇尊者。当出家。尊者為落髮授戒。処胎六十年。生後八十年。都盧一百四十年也しに。始めて発心す。老耄せることいたりて老耄せり。此れによりて発心せんとせし時。人皆いさめて。汝すでに老耄す。徒に清流にあとしてこれなににかせん。出家に二種あり。一には習禅。二には誦経。汝たゆべきにあらず。師世人のそしりをききて。自誓ひていはく。我出家して若し三蔵を学通じ。三明を得ることなくは。誓脇不著席。如是ちかひて。ひるは参学誦経し。よるは安禅思惟して。卒に睡眠せず。初め出家せんとせし時。祥光燭座。仍感舍利三七粒現前。自此精進忘疲三年。遂に三蔵を学通じ。三明智を開く。一日尊者誦修多羅。演無生時。師聞悟道し。卒に第十祖に列す。

【拈提】

可知仏祖の功業として。かくのごとく精進。つかれをわすれて参学・誦経・安禅・思惟す。祖師も又尋常に修多羅を誦し。及ひ無上をのぶ。此れ修多羅といふは。正真大乗経也。同仏説なりといへども。大乗経にあらざれば。誦することなし。了義経にあらざれば。依ることなし。此の大乗経といふは。繊塵をはらふととかず。妄想を除くといはず。了義経といふは。必ず理を尽し。妙を尽すのみに非ず。即其事を尽し来る。所謂事をつくすといふは。諸仏の発心より菩提の涅槃にいたり。三乗五乗を説き来て。劫国名号みなもてつくさずといふ事なし。此れを了義とする也。然れば仏経は如是としるべし。たとひ一句を道得し。一理を通得すといへども。一生参学の事おはらずんば。即是れ仏祖とゆるしがたし。然れば必ず精進忘疲。発心群をぬけ修行倫を絶して。子細に参到し。委悉に究弁して。夜をもて日につぎ。志をたてて力をおこし。仏祖出世の本懷。自己保任の旨趣。悉く明弁して。一生の間にをひて。理として通ぜずといふことなく。事としてつくさずといふ事なふして。即是れ仏祖なるべし。近来祖師の道すたれ。参学の実処なきによりて。卒に一言を通じ。一理を通ずるをもて。足んぬと思へり。恐くは是れ増上慢の類なるべし。大におそるべし。不見道。道は山の如く。登ればますます高し。徳は海の如し。入ればますます深し。深きに入て底をきはめ。高きに登りて頂をきはめて。始て真の仏子たらん。身心徒に放捨することなかれ。人人悉く道器なり。日日是好日なり。只子細に参と不参とによりて。徹人未徹人あり。必ずしも人をえらぶにあらず。時をえらぶにあらさること。今の因縁をもて知るべし。既に百四十余。老耄す。然れども志し無二によりて。精進疲を忘れしかば。卒に一生に参学しおはる。実に可憐老骨の身として。左右に侍する事三年。卒に不睡眠といふ。今人は殊に老ておこたることあり。はるかに往古の先聖を思ひやりて。寒苦をも寒苦とせず。暑熱をも暑熱とせずして。身命を断ずと思ふ事なかれ。心慮不及と思ふことなかれ。若し能く如是ならば。すなはち稽古の人なるべし。是れすなはち有道の士なるべし。若し稽古あり有道ならんが如きんば。たれか是れ仏祖にあらざらん。すでに修多羅を誦すといふ。夫れ修多羅を誦すること。必ずしも口に誦し。手に取りて以て転経とのみすべからず。子細に仏祖の屋裡にして。いたづらに声色の中に功夫せず。無明胎中に行履せず。処処に智恵発生し。時時心地開明して。すべからく修多羅を誦すべし。十二時中恁麼に行履し来るに。会て依倚せざらんが如きんば。即是れ無生の本性を体達せざるなかるべし。しらずや。生じ来れども従来するところなく。死し去れども亦去処なし。当処に出生し。随処に滅尽す。起滅時とともにおこたらず。故に生是れ生にあらず。死是れ死にあらず。然も参学人として。生死を以て心頭にかくることなかれ。見聞を以て自らへだつることなかれ。たとひ見聞となり。声色となるとも。自の光明蔵なり。眼根より光明を放て。色相荘厳をなし来り。耳根より光明を放て。音声の仏事をきき得たり。手裏に光明を放て。転自転他。脚下に光明を放て。進歩退歩。今日又恁麼の道理を指説せんがために。卑語をつけんと思ふ。要聞麼。

【頒古】

転来転去幾経卷。死此生彼章句区。

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