花祭りなどで飲まれる甘茶はヤマアジサイの一種から作られます。8月の中旬にその葉を摘んで発酵させ、手でもんで、天日で乾燥させて甘茶の茶葉が出来上がります。生の甘茶の葉は噛むと苦いですが、発酵させて初めて甘みが出ます。(ヤマアジサイ:ユキノシタ科アジサイ属もしくはアジサイ科の植物)
花祭りではお釈迦様の誕生仏にひしゃくを使って甘茶をそそぐのですが、それは、お釈迦様の誕生時に天から九頭の龍が甘露をそそいで産湯を満たしたという伝承があるためです。
江戸時代までは、甘茶ではなく五色の水と呼ばれる香水が使われていた寺院もあるようですが、次第に甘茶を甘露に見立てて全国的に用いるようになりました。なお、この甘茶は日本独自のもので、中国やインドにはありません。
そもそも甘露とは、梵語(サンスクリット語)でアムリタ、巴語(パーリ語)でアマタといいます。甘茶という名前は、味の他、その音写に由来するという説が有力です。
甘茶の作り方としては、その製品によって適した方法を確認していただくことが前提ですが、一般的には葉葉2g~3g程度を、1Lのお湯で5分程煮出すと飲むのの適した甘茶になります。飲む用であれば濃い甘茶を避けることが推奨されています。
甘茶は甘味が強いので砂糖の代わりに料理に使われたり、また、ノンカロリーなので糖尿病患者の甘味料として、口中清涼剤や歯磨きの甘味、醤油の味付けなどにも利用されています。
寺院で誕生仏にそそぐ用であれば、時間を掛けて甘茶を濃く出す寺院は多いと思います。それは、色が濃い方が見栄えが良く、注ぐ際に甘茶の香りが広がるからです。
また、アマチャヅル(甘茶蔓/ウリ科アマチャヅル属)は名前は似ていますが、甘茶とは別物です。しかし、代わりに使われることもあるようです。
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