馬頭観音菩薩は、馬頭観音、馬頭観世音菩薩、馬頭明王などとも呼ばれます。サンスクリット(梵語)では、ハヤグリーヴァ・アヴァローキテーシュヴァラ・ボーディサットヴァといい、ハヤグリーヴァとは「馬の首」の意味で、ヴィシュヌ神の異名でもあり、インドでヒンドゥーの影響を受けて成立したと考えられています。人々の苦悩に応じて大慈悲を行ずるところから千変万化の相となる観世音菩薩の変化身(へんげしん)の1つであり、その他、姿の特徴としては、頭部正面・宝冠の前面に阿弥陀如来の化仏(けぶつ)を表します。坐像、立像ともにあり、体色は赤く、目尻を吊り上げ、怒髪天を衝き、牙を剥き出した忿怒相で、頭が馬のものと、馬の頭飾りを戴くものとがあり、三面三目八臂とする姿が多いようです。四面八臂などの姿もあります。六観音の1つでも表されています。
馬頭観音菩薩の持物(じもつ)については、剣や斧、棒などを持ち、また、蓮華のつぼみを持つ例もあります。胸前で馬の口を模した「根本馬口印」という印相を示しています。江戸時代には、馬の供養と結び付いて民間に広く信仰されるようになりました。
(馬頭観音菩薩 平安時代、ボストン美術館所蔵 wikipediaより)
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