インド哲学者、仏教学者。東京大学名誉教授、日本学士院会員。
サンスクリット語・パーリ語に精通し、初期仏教の仏典などの解説や翻訳に代表される著作は多数にのぼる。「生きる指針を提示するのも学者の仕事」が持論で、訳書に極力やさしい言葉を使うことでも知られた。
その例として、サンスクリットのニルヴァーナ(Nirvāṇa)およびパーリ語のニッバーナ(Nibbāna)を「涅槃」と訳さず「安らぎ」と訳したことがあげられる。訳注において「ここでいうニルヴァーナは後代の教義学者たちの言うようなうるさいものではなくて、心の安らぎ、心の平和によって得られる楽しい境地というほどの意味であろう。」としている。
国際的な仏教学者の権威としてアメリカ・ヨーロッパなどでも講義・講演した。NHK『心の時代』など放送番組にも度々出演した。
翻訳
『ブッダの真理の言葉・感興の言葉』(法句経)(岩波文庫、1978年、のちワイド版)+岩波書店
『ブッダの言葉:スッタニパータ』(岩波文庫、1984年、のちワイド版)+岩波書店
『ブッダ最後の旅:大パリニッバーナ経』(岩波文庫、1980年、のちワイド版)+岩波書店
『神々との対話:サンユッタ・ニカーヤI』(岩波文庫)
『悪魔との対話:サンユッタ・ニカーヤII』(岩波文庫)
『仏弟子の告白』(岩波文庫)+のち「仏弟子・尼僧」岩波書店(各・単行版、1984年5月)
『尼僧の告白』(岩波文庫)
『般若心経・金剛般若経』(紀野一義との共訳、岩波文庫、のちワイド版)
『浄土三部経』(紀野一義、早島鏡正との共訳、岩波文庫(上・下)、のちワイド版)
『ミリンダ王の問い インドとギリシアの対決』(早島鏡正との共訳、平凡社東洋文庫 全3巻)、のちワイド版
『般若経典』(東京書籍)
『維摩経』『勝鬘経』(東京書籍)
『法華経』(東京書籍)
『華厳経』『楞伽経』(東京書籍)
『浄土経典』(東京書籍)
『密教経典・他』(東京書籍)
『論書・他』(東京書籍)、各・編者代表
『原始仏典』『大乗仏典』(筑摩書房)、編者代表/前者がちくま学芸文庫で新版
生誕 1912年(大正元年)11月28日
命日 1999年(平成11年)10月10日
向学院釋創元
自誓院向学創元居士
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